早々に復帰の可能性も?

OpenAI、サム・アルトマン氏にCEO復帰を打診か。社内でAI商業化めぐり対立?

Image:Camilo Concha/Shutterstock.com

サム・アルトマンをOpenAIが解任した衝撃もさめやらぬなか、一転して同社の取締役会がアルトマン氏をCEOとして復帰させるための話し合いを行っている、とThe Vergeが報じている。

この問題に詳しい関係者の1人は、何の通告もなく退社させられたアルトマン氏が、復帰につき曖昧な態度を取っており、会社の運営方法について大幅な変更を望んでいると語っている。

さらに、アルトマン氏に近い情報筋によると、取締役会は自らの辞任およびアルトマン氏と(共に退社した)グレッグ・ブロックマン元社長の復帰を認めることで基本的に合意したという。だが、多くのスタッフが退社する予定とされた期限に間に合わなかったとのことだ。これら元スタッフは、アルトマン氏が新会社を立ち上げる場合、行動をともにすると見られている。

アルトマン氏が更迭されたわずか1日後に会社が協議を持ちかけたのは、OpenAIが彼なしに方向性を見失っていることを示しているようだ。解任された数時間後、アルトマン氏はブロックマン元社長とともに別の会社を立ち上げることにつき、友人や投資家と協議したという。

かたや2人の退社後、OpenAIでは上級研究者3人が辞任し、さらに多くの退職者が出ているとの報道もある

アルトマン氏の解任につき、米AxiosはOpenAIのブラッド・ライトキャップCOO(最高執行責任者)が根拠に関する批判を示唆した社内メモを入手。それによると、今回の解任は「不正行為や財務、ビジネス、安全、セキュリティ/プライバシーの慣行に関連する何か」に下されたものではないとのこと。明らかな法的不正行為もなく、社内での幅広い支持もあれば、アルトマン氏の復帰は(本人が望めば)難しくないだろう。

OpenAIの広報担当者は、アルトマン氏が取締役会と復帰につき話し合っているとの報道につき、回答をしていない。また、最大の出資者であるマイクロソフトの広報担当者もコメントを控えている。

複数の情報源は、アルトマン氏の解任はOpenAIによる技術展開の安全性とスピードに対する懸念から、チーフ・サイエンティストで共同創業者のイリヤ・スーツケバー氏が画策した可能性が高いと伝えている。アルトマン氏とは商業化と会社の成長を推し進める速さをめぐり意見の対立が生じており、スーツケバー氏は遅くするよう主張していたという。

OpenAIは設立以来、汎用人工知能(AGI)の開発を追求してきた。AGIとは、人間と同様の感性を持ち、ものを考え、知的作業がこなせる人工知能である。それは多くの人間の仕事を肩代わりし、あるいは奪う可能性もある。つまり社会に大きな衝撃をもたらすことになり、AIの進化が「速すぎる」ことにも是非が分かれているわけだ。

もしもアルトマン氏がOpenAIに復帰した場合、スーツケバー氏の立場がどうなるのか、あるいはブロックマン氏や辞職した上級研究者3人が一緒に戻ってくるのかどうか、今のところ定かではない。

「取締役会にとって最悪のケースは、サムとグレッグが別の会社を立ち上げ、OpenAIの才能と将来の資金をすべて奪い、訴訟を起こされることだ」との指摘もある

そんな一連の報道や推測が飛びかった後、当のアルトマン氏が自ら意味深な画像をXに投稿している。

OpenAIのゲストパスを掲げて「これを着けるのは初めてであり、最後だ」ということが何を意味しているのか、続報を待ちたいところだ。

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