Googleも自社主導のVRヘッドセットを諦めていないから?

Meta、Quest向けPlayストアをGoogleに要請したが断られていた

Image:Dasian/Shutterstock.com

Meta Questシリーズは数年にわたってVRを普及させてきており、すでに独自ストア「Meta Store」のゲームやアプリのライブラリも充実している。

だが、それでもスマートフォン向けアプリの豊富さには及ばないだろう。そもそもQuestはAndroidベースのOSを使っているため、Androidアプリを自力でサイドローディング(公式ストア以外でのインストール)して利用しているユーザーも少なからずいる。

実は、Metaはアプリライブラリを拡大するため、QuestにPlayストアを提供するようGoogleに要請したものの、Googleに拒否されたと同社の幹部が明かしている。

Meta CTOのアンドリュー・ボスワース氏は、最近InstagramでAMA(Ask me Anything/なんでも聞いて)」セッションを開催し、Quest VRコミュニティからの質問に答えた。そこではQuest 3での2D Androidアプリに関する話が盛り上がり、ボスワース氏もAndroidアプリを移植することは大した問題ではないと述べている。

そこで主要な問題は「いかにアプリを配布するか」である。だからこそMetaは、GoogleにPlayストアを提供するよう依頼したというのだ。しかし、Googleは「やりたがらなかった」とのこと。

ボスワース氏いわく「現在Androidスマホで動いているAPK(Androidアプリ配布に使うファイル)を持つAndroid開発者が、それをVRに持ち込むことを妨げるものは何もない」とのこと。せいぜい軽い修正が必要なだけだが、Metaとしては「それらを自動的に取り込む方法はない」と述べている。

さらにボスワース氏は、GoogleがPlayストアのアプリをVRに対応してくれたら嬉しい、そのためMetaは「彼らにお願いしたが、彼らはやりたがらなかった」と説明している。

なぜ、Googleが乗り気ではなかったのか。可能性の1つは「PlayストアにVRデバイスを含めたくない」ことだろう。同社はAndroid OEM各社に収益分配と引き換えに、Playストアをプリインストールさせる契約を締結している。一見するとMetaへの拒否と矛盾するようだが、本来2DのアプリをVRヘッドセット上で動作検証および保証することは追加のコストが予想され、Googleがそれを嫌がったのかもしれない。

また、GoogleはサムスンとMRヘッドセットを共同開発しているとの報道もあった。同社はDaydream VRプラットフォームに続きARメガネ「Project Iris」も棚上げしたが、まだ自社が舵取りするVRを諦めていないようだ。もっとも、MRヘッドセットは早くも頓挫する可能性が浮上している

Metaの話に戻ると、同社はマイクロソフトと提携してWindows 365やXboxクラウドの提供を受けている。Windows 11で利用できるAmazonアプリストアと同様のものが、Questでも実現する可能性もなくはなさそうだ。

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