バッテリー残量は3%

クレバスに落ちたスノーボーダー、iPhoneの緊急SOS機能と3Gで命が助かる

Image:Tim Blakey

あるスノーボーダーがクレバスに転落したものの、iPhoneの緊急SOS機能により救急隊と連絡が取れ、命が救われたと報じられている。

この機能により人命が救助されたケースは珍しくないが、今回は「iPhoneのバッテリー残量がほとんどなかった」ことと「(日本では停波の流れにある)3Gによる連絡が取れたこと」が注目を集めている。

英国のスノーボーダーTim Blakey氏は、3月にスイス・ツェルマット(マッターホルン山の麓)近くの氷河で滑降していたところ、トラブルに見舞われた。標高約1万フィート(約3000m)の地点で、雪に隠れたクレバスに転落してしまったのだ。

落下した地点は5m下で、脆いスノーブリッジ(クレバスの上にできた自然の雪塊)に辛うじて引っかかったという。ピンチを脱しようにも身動きが取れなかったBlakey氏は、助けを呼ぼうとiPhoneを確認してみると、バッテリー残量はたった3%、選択肢は限られていた…と、海外メディアの7Newsは伝えている。

そこでBlakey氏は、iPhoneで緊急SOS機能を使って緊急サービスを呼び出せることを思い出した。公的な緊急サービスだけではなく、自ら指定した緊急連絡先(家族や知人など)へ、位置情報をテキストメッセージで送ることもできるのだ。

通報を受けてすぐにレスキュー隊が到着し、足首を怪我したBlakey氏はクレバスから助け出され、病院に運ばれた。その日の夜に、彼はロンドンに戻る飛行機に間に合ったそうだ。

この出来事をBlakey氏はInstagramで振り返り、救助隊にどう恩返しをしたらいいか「まだわからない」と語っている。また「iPhoneのサイドボタン5回クリック(iPhone 7以前の場合)で緊急通報」という操作方法が、「画面が常に水滴まみれのときには特に素晴らしい」と高く評価。さらに通信キャリアに対しては「私に3G接続と氷の下5mで3%のバッテリーを与えた」(そうした条件のもとで通信できた)と感謝を示している。

iPhoneのほか、Apple Watch Series 4以降の転倒検出機能(激しく転んだことを検出した後、1分間なんの動きもなければ緊急SOSを発信する)により命が救われたとのニュースも珍しくはない。

しかし、電波が届かなければ、どんな優れた人命救助のしくみであっても役に立たない。日本では3G通信は停波される流れにあり、3月31日のauを皮切りに、ソフトバンクは2024年1月、NTTドコモは2026年3月末と停波が続く。契約数の減少や経営資源の節約のためやむを得ないが、4Gや5Gのカバー範囲も十分に確保が望まれそうだ。

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