生成AI画像の訓練データにまつわるトラブルを防ぐため?

Shutterstockの画像をAI編集できる「クリエイティブAI」発表

Image:Shutterstock

ストックフォトのShutterstockは、AIを使って画像ライブラリを編集できる新ツール「クリエイティブAI」を公開した。この機能はまだベータ版であり、ストック画像やAIで生成した画像の別バージョンを作成したり、画像の背景を拡大したりすることが可能。「マジックブラシ」で囲った部分を消去、あるいはプロンプトで別の生成画像に置き換えることもできる。

さらに、AIにより背景除去あるいは別シーンに置き換える機能や、必要なサイズに合わせて画像の形状を自動的に変更するスマート・リサイズ機能も展開している。

気になるのは、元画像を作成したアーティストの権利保護である。Shutterstockは「編集後に画像のライセンスが付与された場合」に報酬が支払われるとしている。ただし「AIで生成または編集したコンテンツは、このサイトでのライセンス付与の対象にはならない」とも付け加えている。それは「投稿者の知的財産の保護と、アーティストへの適切な補償をより確実にするため」とのことだ。

また、今年1月にベータ版を公開したAI画像ジェネレーターを、OpenAIの画像生成AI「DALL-E」最新バージョンにアップデートすることも発表している。「探しているものを説明するだけで、誰でも高品質で倫理にかなったビジュアルを数秒で作成」できるとのことだ。

両社の提携は2021年、OpenAIがDall-Eのテキストー画像生成モデルを訓練するため、Shutterstockのコンテンツを利用するライセンスを取得したことまで遡る。その後、2022年秋にはDALL-E2により作られたストック画像の販売を開始した。

そして今年7月、両社の戦略的パートナーシップは拡大され、高品質のトレーニングデータを提供する新たな6年契約を締結。OpenAIはShutterstockの画像、動画、音楽ライブラリおよび関連メタデータにアクセスできるようになった。

その一方でShutterstockは昨年、作品がAIの訓練に使われたアーティストに補償するための貢献者基金も発表している。つまりShutterstockに画像を登録している制作者には、ロイヤリティとAI訓練データの両面で収益が発生する格好だ。

同社のほか、AdobeやCanvaといった企業も生成AIによる画像編集に参入している。たとえばAdobeは先月、Adobe Creative Cloud、Adobe Express、Adobe Experience Cloudを契約しているユーザー向けに、生成AIツール「Firefly」の提供を開始した。

その一環として、登録した画像をAIのトレーニングに使うことを許可したアーティストに支払う新しい年間ボーナス制度も発表している。こうした「自らの画像をAI訓練データに使うことの許可と、それに対する補償」は、正規の使用か盗用かをめぐるトラブルを防ぐ狙いもありそうだ。

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