51年前に地球に持ち帰ったサンプル

月はもっと古い可能性。アポロのサンプルから再発見、定説の4000万年前?

Image:NASA / GSFC / Arizona State University

ヨーロッパ地球科学連合で発表された新しい研究によると、月の年齢はわれわれが思っているよりも4000万年ほど古く、太陽系の形成から約1億1000万年後に形成されたことがわかったという。

この研究結果は、1972年のアポロミッションで持ち帰られた、月の表面サンプルに含まれるジルコンと呼ばれる結晶の形成の状態を調べることで判明した。

研究者らは、岩石に含まれる特定の分子を測定するために質量分析法などの解析技術を駆使したほか、サンプル中の放射性崩壊の量を検出するためにアトムプローブ・トモグラフィーなどの分析方法も使用して岩石中の結晶の年齢を求めた。その結果、サンプル中に大量に含まれるジルコンと呼ばれる結晶の年齢によって、月の表面が太陽系形成から約1億1千万年後に形作られたことが示された。

NASAは、今から数十億年前に存在した火星ほどの大きさの天体と地球が衝突し、その分離した破片が月になったという説が有力だと考えているが、今回の研究結果は、実際にその衝突がいつ発生したかに関するヒントを科学者らに提供するものと言えそうだ。

長らく、月は宇宙探査および研究のテーマであり続けている。しかし、その起源を完全に理解するにも、まだまだ調べるべきことがたくさん残っている。

現在進められているArtemis計画で、NASAは月への有人ミッションを再開しようとしているが、それは、早くても2025年以降になると考えられる。それまでにも、月の表面をよりよく理解するための分析などを行うため、さらなる無人ローバー(探査車)による探査が計画されている。たとえば、2024年後半の打ち上げを目標としている火星探査ローバー「VIPER」は、月の表面と地下に存在するかもしれない氷を分析し、月の資源マップを作ることを計画している。

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