オンラインでいつでも見ることができれば、盗難が減るかも

大英博物館、全所蔵品をデジタル化へ。8月の盗難発覚受け

Image:gowithstock / Shutterstock

大英博物館は、800万点を超える所蔵品すべてをデジタル化する計画を明らかにした。

アート情報メディアARTNewsによると、この計画は所蔵品の一般公開の機会を増やしつつ、所蔵品のセキュリティを改善するための持続的な取り組みの一環だという。大英博物館は今年8月、紀元前15世紀から19世紀までの宝石や金の宝飾品1500点以上が保管室から失われており、これに関与していたとされるベテラン職員を解雇したことを明らかにしている。今回の計画は、このような盗難への対策の意味合いもあると考えられる。ちなみに、同博物館は大量の所蔵品から約8万点を一般公開している。

計画では240万件以上のデジタル化作業が必要であり、完了には5年以上の時間がかかる見通しだ。予定通りにすべての作業が完了すれば、2029年ごろには大英博物館の所蔵品をすべてオンラインで見ることが可能になるかもしれない。

「私は、盗難事件への最も重要な対応策はアクセスを増やすことだと考えている。なぜなら、コレクションがよりよく知られ、より多く使用されるほど、紛失に気づくのも早くなるからだ」と、大英博物館臨時館長のマーク・ジョーンズ氏は声明で述べている。

ただし、一連の作業には総額1210万ドルのコストが見込まれている。同博物館にはそれだけの資金はなく、政府に税金の投入を依頼するよりも、投資家から調達することを考えているという。

なお所蔵品のデジタル化は、新型コロナのパンデミックによって人々が外出しにくくなった2020年から同博物館が取り組んでいることであり、240万件のうち約半分はデジタル処理が完了しオンライン公開の準備ができているという。

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