昔は月8ドルでした

Netflix、米英仏で「再値上げ」。米でプレミアム月額23ドル、日本もベーシック廃止に

Image:pixinoo/Shutterstock.com

Netflixが2023年の第3四半期決算の報告において、ベーシックプランとプレミアムプランの月額料金を値上げすることを明らかにした。

価格改定は、米国および英国、フランスで実施され、ベーシックプランとプレミアムプランが値上げ、広告付きプランとスタンダードプランは据え置きとなる。

米国での価格は、プレミアムプランが月額19.99ドルから22.99ドルに変更され、3ドルの値上げになった。また、ベーシックプランは今年はじめに新規加入を終了しているが、既存の加入者に対しては継続して提供を続けており、今回の改定で月額9.99ドルから11.99ドルに引き上げとなる。広告付きプランとスタンダードプランは変わらず、それぞれ6.99ドルと15.49ドル。

Netflixは株主への書簡の中で、「会員により多くの価値を提供する中で、もう少し多くの料金を支払っていただくようお願いすることがあります」と説明。「当社の開始価格は同業他社に比べ非常に競争力あるものであり、たとえば米国では月額6.99ドル、映画チケット1枚の平均価格よりもはるかに安価に視聴を開始できる」と自画自賛している。

ただ、6.99ドルというのは広告付きでHD画質までという、あくまで最も安価なプランに限った話。Netflixは、10年前には月額8ドルで広告なしですべてのコンテンツを視聴することができたが、独自のドラマや映画の製作を開始してコンテンツを充実させるのに伴って、ユーザーが支払う料金も肥大化してきている。

今回の値上げに先行して、今年5月には別世帯のユーザーがパスワードを共有して料金を節約するのを阻止するため、Netflixは有料でパスワード共有プログラムを開始した。その代わりとして、全体の価格改定は当面行わず、主要市場における次の値上げ時期は「1年以上先」になると、ニューマンCFOは2023年第2四半期の業績発表の場で述べていた。

しかし今月はじめ、値上げに関するうわさが出始めた。それでも、少なくともハリウッドの映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキが終結すれば、その数か月後に実施されるのではないかとされていた。

ところが蓋を開けてみれば、映画俳優組合のストライキ終結を待たずの値上げ実行となった。ちなみに全米脚本家組合は先月、ストリーミングデータの提供、最低賃金の引き上げ、残余金の改善などでNetflixを含む主要サービス企業との合意に達し、ストライキを終了している。

Netflixは第3四半期の業績報告において、過去数か月間で新規加入者が876万人増加し、全世界での総加入者数が2億4715万人に達したとのことだ。これはパスワード共有ユーザーの有料顧客化が予想を「上回った」ことが要因としてあげられている。広告付きプラン加入者が大幅に増加した(サービスを提供する12か国全体の約30%を占めるようになった)ことで、会員数は前四半期比で約70%増となった。

また、米国、英国、イタリアではベーシックプランを廃止したことで、このプランの利用者がスタンダードプランに移行しているという(ベーシックプランはカナダでも廃止が報じられた)。ベーシックプランの廃止は、今後ドイツ、スペイン、日本、メキシコ、オーストラリア、ブラジルでも実行する計画であることも発表された。

ちなみに日本でのベーシックプランは月額990円、720pが1ストリームまでとなっている。2022年11月から開始された広告付きスタンダードプランは月額790円で1080p×2ストリームの視聴が可能(一部作品は視聴不可)だ。また、広告なしのスタンダードプランは月額1490円で1080p×2ストリーム(全作品視聴可能)となり、4K画質は月額1980円のプレミアムプランのみ対応している。

料金の引き上げに伴いNetflixは、強力な新規コンテンツ開拓の取り組みを行っている。たとえば来月に11月14日には、初のライブスポーツイベントとなるNetflixカップの配信を予定している。

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