Epic Gamesの『Fortnite』では訴訟にもなっていた件

大人気ゲーム『原神』のmiHoYoも「アップル税」回避を図っていた。なお2度とも失敗

Image:IgorGolovniov/Shutterstock.com

大人気モバイルゲーム『原神』の開発元であるmiHoYoが、App Store内での購入につきアップルに支払う最大30%の手数料、通称「アップル税」を2回も逃れようとして失敗していたと報じられている。

アップルとmiHoYoは、表向きには良好な関係にあった。『原神』は2020年の「今年のベストiPhoneゲーム」を受賞し、ティム・クックCEOは中国視察ツアー中にmiHoYoの上海本社を訪れ、iPhone 15発表イベントでは同社の『崩壊:スターレイル』などが紹介されたにもかかわらず、である。

ほか、『原神』は2021年のApple Design Awardにて最優秀ビジュアル&グラフィックを受賞。「胸が高鳴る戦闘場面と、はるか遠くまで広がる風景はモバイルゲームのビジュアルの新境地をさらに押し広げています」とまで評されていた

しかし、米メディアChina Project報道によると、miHoYoはアプリ内課金額30%の支払いを避けようと図っていたという。その始まりは、同社の公式コミュニティアプリ「米游社」を通じて行われたもの。ここでは『原神』や『崩壊:スターレイル』といった主力ゲームのファン向けのキャンペーンが外からは見えにくい形で展開されている。

この場でmiHoYoはカスタマーサービスのスタッフに、ユーザーに対してゲーム内アイテムをmiHoYo公式サイト上で購入するよう誘導させたという。デジタル商品の売買にApp Storeを介さないことで、「アップル税」を逃れようとしたわけだ。

これに対してアップルは、miHoYoのコミュニティアプリを削除することで対応。その数日後、再登場したアプリはウェブでの支払いを推奨しなくなったそうだ。

その後、miHoYoは決済アプリAlipay向けのミニアプリ(アプリ内で動く軽量アプリ)をリリース。こちらは中国SNSのWeiboで少し宣伝した以外は、あまり騒ぎにならずに稼働。が、まもなくアップルはiPhoneユーザー向けにこの機能を無効にしたとのことだ。

中国ではmiHoYoに先立ち、NetEaseやPerfect Worldといった大手ゲーム会社も、ユーザーをAlipayやWeChatなどの決済アプリに誘導しようとしたとのこと。しかし、これらの試みは遅かれ早かれ、すべてApp Store規約違反としてアップルに阻止されたそうだ。

今のところmiHoYoは「アップル税」に対する挑戦をエスカレートさせてはいない。しかし、ゲーム市場調査会社ニコ・パートナーズのアナリストは「ゲーム産業だけでなく、中国市場でさらなる挑戦があるだろう」とコメント。アップル税の回避は、そのまま粗利率の向上になるだけに、あらゆる手段が試されることになりそうだ。

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