クラウドファンディングでは500人以上が支援
認知症や自閉症の症状を抑えるAIスマートソックス。クラウドファンディングで製品化目指す
認知症や非言語情報を特に苦手とする自閉症患者は、症状出た際に意識が混乱して強い不安を感じたり、その結果として攻撃的な行動を起こしてしまうことがある。英ブリストル大学の研究者は、そのような患者の症状の兆候をキャッチして介護者に知らせることが可能な、センサー付きソックスを開発した。
同大学のロボット工学者であるZeke Steer博士は、自身の曾祖母が認知症を患い、その症状が進行していくのを見ていた。その経験から、発作的な症状が現れるのを検知して介護者に知らせるための仕組みを作ることを考えた。
Steer博士はセンサー類を患者に受け入れられやすいウェアラブルデバイスとすることを考え、普段から身につけている衣類の形態としてスマートソックスを選んだ。
このスマートソックスは着用する人の心拍数、発汗レベル、動きを検知することが可能で、それらの追跡データをクラウド上のサーバーにワイヤレスで送信、AI解析によって健康状態に関する手掛かりを提供する。もし、問題の兆候が見つかれば、介護者の持つスマートフォンにアラートが表示される。もちろん洗濯も可能だ。
なお、実際に英国の介護施設で実施された実験は、成功といえる結果を示したとのこと。研究者らは現在、英国のスタートアップ企業Milbotixとともに製品化に向けたプロジェクトを立ち上げ、500人以上の投資家から支援の約束を得ているという。
また9月26日からは、20万ポンドを目標額としてクラウドファンディングを実施、記事執筆時点で達成率は93%に達している。政府からの助成金も確保できているとのことなので、このスマートソックスが近い将来、介護施設向けなどとして販売される可能性は高そうだ。
ブリストル大学の企業・イノベーション担当副学長代理であるMichele Barbour教授は「このスマートソックスは非常に革新的な機械学習アルゴリズムとセンサー技術を、靴下のような身近で日常的なものに組み込んだ独創的なものであり、このテクノロジーは、認知症の人やその介護者、家族に真の変化をもたらす可能性を秘めている」とコメントしている。
- Source: University of Bristol
- via: New Atlas