顧客の立場に立った考え方

一部自動車メーカーでCarPlayやAndroid Auto排除の動き。一方、ポルシェは統合進める

Image:Porsche

アップルは2016年、カーインフォテインメントにスマートフォンの能力を統合するCarPlay機能を発表した。その後2020年には、CarPlayやAndroid Auto機能は新車購入者全体の半数が希望する機能として認知されるようになっている。

しかし、自動車メーカーの一部(たとえばGMなど)は、より車両と緊密に連携する運転支援システムの開発やインフォテインメントシステム開発の自由がCarPlayのような社外ツールに左右されることを嫌い、将来の車種においてこのような機能のサポートを除外すると発表している。

一方、ポルシェは逆にCarPlayとの連携にチャンスを見出しているようだ。同社はアップルが自動車メーカーにのみ提供するツールキットを用いて、通常のCarPlayに定められる、制約あるUIガイドラインを超えたソフトウェアの開発を実現している。

高級スポーツカーや高級SUVを主力商品とするポルシェは、独自の顧客調査でポルシェオーナーの圧倒的大多数がiPhoneを所有していることを知ったという。そしてCarPlayの不利な点として、エアコン周りの機能をはじめとする一部機能を操作するには、いったんCarPlayを抜け、目的の機能インターフェースに切り替える必要があること、また「顧客調査でもこの点にユーザーがあまり満足していないことがわかった」とした。

そして2024年モデルのポルシェ・カイエンでは自社のインフォテインメントソフトウェアであるMy Porsche AppとCarPlayおよびSiriを統合し、My Porsche Appの持つ、AM、FM、Sirius XMといったオーディオやエアコン、車内照明の制御をCarPlayから可能にしている。

ただし、CarPlay側にはポルシェのソフトウェアが利用できるアクセル/ブレーキやステアリングの制御へのアクセスは制限されている。またアップルから自動車メーカーに提供されるツールキットの機能の一部である、自社ソフトウェアと同様に見せることができるUIデザイン機能は使用していない。

ポルシェはこのことについて、アップルのエコシステムに提供される他のアプリが、アップルのフォントやUIに合わせた設計になっているためだとしている。

Image:joebarthez / Shutterstock

ちなみに、ポルシェ・カイエンの2024年モデルは、CarPlay対応のPorsche My Appを搭載する最初の車種であるため、現在はこれ以外の車種ではCarPlayの機能は他社とさほど変わらない。しかし今後発売される車種には、順次、より統合されたCarPlay機能が搭載されていくはずだ。

なおポルシェは、Androidにはアップルの自動車メーカー用ツールキットに相当するものがなく、また顧客のなかのAndroidユーザーの割合が限られるため、今のところAndroid AutoでCarPlayと同様の対応をする予定はないという。

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