長期的な検証が必要かも

iPhone 15 Proの過熱を解消する「iOS 17.0.3」配信開始。性能低下は見られず

Image:canghai76/Shutterstock.com

10月5日未明、iOS 17.0.3が配信開始された。リリースノートによれば重要なバグやセキュリティアップデートのほか「iPhoneが動作中に予想よりも熱くなることがある問題」に対応するものだ。

これは、iPhone 15 Proモデルの過熱問題を指しているのだろう。その修正パッチを「アップルが内部テスト中」と報じられた直後のことで、異例のスピード公開である。

まだ配信から数時間しか経っていないが、米AppleInsiderがさっそく検証したところ、懸念されたパフォーマンスの低下はなかったと報告している。

iPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Maxが高速充電中やゲームばかりか、SNSを閲覧するなど軽い作業でも熱くなるとの声がネット上で相次ぎ、The Wall Street JournalやForbesといった大手メディアが取り上げる事態となっていた。

とはいえ、全ての個体が熱くなっていたわけではない。非常に熱くなったものもあれば、熱くならないものもあり、二分化していた。

さらに一般的な現象として「iPhoneを初期設定またはバックアップから復元した場合、最初の数日間はバックグラウンドでの動作により温かくなりやすい」こともあり、事態が錯綜していた次第だ。AppleInsiderスタッフの1人も、初期にそうした症状に見舞われたことはあったが、じきに解消されたという。

iOS 17.0.3リリース後、AppleInsiderはiPhone 15 Proモデルを数台アップデートし、信頼性の高いベンチマークアプリを再実行したとのこと。複数の実行環境を用意し、テスターを替えて行ったものの、パフォーマンスの低下は確認できなかったという。

しかし、まさに同サイト内で確認されていたiPhone 15 Proモデルの過熱は「サンプル数1」に過ぎず、しかも修正パッチを待たずに解消されていた。もしも個体差によるものであれば、過熱が長引いていた個体についても検証が待たれるはずだ。

また、1回限りのベンチマークテストでは、iPhone 15 Proに搭載されたA17 Proの数値は、Galaxy S23シリーズ等のSnapdragon 8 Gen 2を超えている

だが、高負荷状態での性能を長時間かけて計測する「3DMark Wildlife Extreme」では、iPhone 15 Pro MaxのGPU性能が周回ごとに落ちていくことが確認されている。ベイパーチャンバーを搭載したGalaxy S23 Ultraより冷却システムが劣るため、サーマルスロットリング(CPUやGPUが熱くなった際に、動作クロック周波数を下げて破損を防ぐ機能)が働いたと推測されていた。

もちろんアップルの公称どおり、過熱問題が修正パッチにより解消していることが望ましい。より多くのユーザーからの報告を待ちたいところだ。

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