Bandcampは2022年に買収したばかり

Epic Games、全従業員の16%にあたる約830人の削減とBandcamp事業売却を発表

Image:Epic Games

人気ゲーム『Fortnite』や、ゲームエンジン「Unreal Engine」の開発で知られるEpic Gamesが、従業員の16%にあたる約830人を解雇し、子会社の音楽アーティストプロモーションサイト「Bandcamp」を売却すると発表した。

解雇対象となる従業員には、給与6か月分と健康保険などを含む解雇手当が支給され、ストックオプションの行使期限を2年間延長するとしている。なお、解雇対象は主要なゲーム開発チーム以外の人員であるとのこと。

Epicはこれまで、新規採用の停止や広告活動費などの支出を減らしてコスト削減に努めてきたとし、今後は(いまだ概念的な段階を出ないものの)メタバース方面で存在感を得るためのインフラ開発にフォーカスしていきたいとの考えを示している。この方向性の一例としては、LEGOとの提携による子供向けの「immersive digital experience(没入型デジタル体験)」の構築などがある。

こうした支出削減の動きは、大株主であるテンセントやソニーといった出資者からの圧力に対してやくだつものかもしれないが、収益の柱となるべきゲーム『Fortnite』は、引き続きAppleのApp StoreとGoogleのPlay Storeから排除されており、モバイル版の売上げ拡大の足かせになっている。

さらに、『Fortnite』の主要なプレイヤー層である子どもたちの個人情報を保護者の同意を得ず収集し、意図しない課金を促す仕組みが米国のCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)に抵触するとして、FTCから5億2000万ドルの制裁金科せられたり、米最高裁判所にアップルのApp Storeに関する独占禁止法判決の再検討を要請すると言った事情などが、収益におけるマイナス要因になっている。

Epicは今回、2022年3月に買収したオンライン音楽プロモーションプラットフォーム「Bandcamp」を、音楽ライセンシングサービスのSongtradrに売却することも発表した。一方、子供向けWebサービスのSuperAwesomeは、Kid Web Services(KWS)事業を残しつつ、広告配信に関する部分を分離、独立会社化するとした。

とはいえ、Epicのティム・スウィーニーCEOは『Fortnite』と「Unreal Engine」の2本柱があることで、Epic Gamesの「将来は明るい」と述べ、支出削減の動きにともなう様々な変更に関しても、「われわれの目標を達成し、収益性の向こう側に到達してトップのメタバース企業になる力が得られれば、スケジュールのトレードオフは問題ない」としている。

なお同社は、主要事業については資金提供を減らすことなく、Fortniteの開発とFortniteクリエイターエコシステムへの投資を継続していくと述べている。

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