「A17 Pro」にProと付けたのが伏線?
iPhone 16、初の標準モデル専用チップ「A17」搭載か
来年の「iPhone 16」と「iPhone 16 Plus」には、今年のProモデル用チップA17 Proではなく、標準モデル専用に設計された初のAシリーズチップ「A17」が搭載されるとの噂が報じられている。
リーカーの手机晶片达人(モバイルチップマスター)氏は6月、iPhone 15 Proモデル用のA17 Proチップは台湾TSMCのN3Bプロセスで製造されるが、来年のiPhone 16標準モデル向けチップは低コストのN3Eに切り替えられ、実質的に異なるチップになると主張していた。
この人物は「インテルのPentiumプロセッサーに25年間携わってきた集積回路の専門家」だと自称。実際、iPhone 14シリーズ発表前に、標準モデルはA15 Bionicチップを搭載し、最新のA16チップはProモデル専用だと的中させていた。
なおN3Bは事実上の試験ノードであり、アップル向けチップに独占的に使用。N3Eは製造を簡略化して性能より歩留まり向上を優先しており(トランジスタ密度が低い)、N3Bとは互換性がない。つまりN3B向けのチップ設計は、N3Eには流用できないわけだ。
さて手机晶片达人氏は新たに、iPhone 15 Pro用チップに“Pro”が付けられている理由を説明。なぜなら、iPhone 16標準モデル向けチップはN3E製造による「A17」になるからだという。
Appleシリコン(独自開発チップ)において、性能が異なるプロセッサーが同じ名前で呼ばれた前例はある。例えばiPhone 14とiPhone 14 Plusに搭載されたA15 Bionicは、iPhone 13/iPhone 13 miniのA15よりもGPUコアが1つ追加されていた。またMac向けMシリーズチップでは、GPUコア数が異なるバリエーションの存在は恒例となっている。
しかし、上記の噂が正しければ、「A17」と「A17 Pro」では設計が根本的に異なるチップに同じ名前が冠されることになる。「まずProモデル向けにProチップ、翌年の標準モデルにProなしチップ搭載」は、TSMCの後継ノード世代交代に伴い、繰り返されていくのかもしれない。
ちなみに、今年のiPhone 15 Proモデルはサーマルスロットリング(温度が上昇したとき、CPUの破損を避けるためクロック周波数を下げる)が深刻なようだ。1回限りのベンチマークアプリでは好成績を叩き出すものの、長時間その性能をキープするには、外付け冷却クーラーが必要という指摘もあった。
サムスンのGalaxy S23シリーズのベイパーチャンバーのように、今後のiPhone Proモデルには冷却システムの強化が必要かもしれない。