1位はPinterest
気候に関する誤情報対策、主要SNSで「X」が最下位
主要ソーシャルメディアの気候変動に対する誤情報への対策状況についてまとめた新たな報告によると、YouTube、Meta、TikTokは気候に関する誤った情報に、不十分ながら対処すべく取り組んでいると評価されている。
一方、イーロン・マスク氏が所有するX(Twitter)には、この問題に対する明確なポリシーがないとの評価だった。
環境団体と研究者が構成する「Climate Action Against Disinformation」の報告によると気候変動を否定するようなコンテンツへの取り組みは、Google、YouTube、Meta、およびTikTokのいずれも遅れていると評価されている。しかしそれらに比べてもXの評価は非常に低く、気候変動の誤情報に対する明確なポリシーの不在、透明性ある対応策もないとされている。
ソーシャルメディア上では、依然として気候変動を否定する内容の投稿が数多く見られる。研究者らは、ソーシャルメディア企業のコミュニティガイドライン、利用規約、プレスリリース、ニュース記事、独立した研究などをパラメーターとして気候変動に関し、事実に反する情報を効果的にモデレートできているかを全21点で採点した。
その結果、主要なソーシャルメディアのなかで最上位だったのは12点を獲得したPinterestだった。TikTokが9点、FacebookとInstagramのMeta組はいずれも8点、YouTubeが6点と続く。これらに対して、Xが獲得したのは1点だけだった。
Xは2022年のEarth Dayに、気候変動に関する科学的コンセンサスを、否定するような広告を禁止すると発表している。また、それ以前の2019年にも気候変動を否定する団体による、地球温暖化に関する政治的な広告を受け入れないと約束した。ただしこれは、化石燃料産業などからの「グリーンウォッシング」広告には効果をもたなかったとされている。
さらに、2022年にElon MuskがXを買収した後、モデレーションポリシーを逆行させるような措置を行った。報告では「Xの場合、イーロン・マスク氏が会社を買収したことにより、どのポリシーがまだ有効で、どのポリシーが有効でないかについて不確実性が生じた」と述べている。
たとえば、Twitterは広告における不適切なコンテンツの禁止として「誤った情報の提供」も対象としているが、気候変動を促進するような広告を明示的に禁止していない。
また、ユーザーが誤情報に関してXに報告するためのフォームには、新型コロナや選挙に関する誤情報の選択肢があるものの、気候変動の誤情報を報告する選択肢はない。ユーザーがポスト(ツイート)にある誤った内容や虚偽の情報を指摘するコミュニティノートは、気候変動を否定する意見を受け入れており、環境に関する投稿にそれが含まれる事例があることが指摘されている。さらには、イーロン・マスク氏自身が「地球の表面で起こっていること(農業など)は気候変動に意味のある影響を与えない」と述べている。
とはいえ、気候変動に関する明確かつ包括的な定義は、YouTubeやTikTok、Instagram他も行っていない。そのため、報告書は他のプラットフォームのスコアは高いものの、いずれも研究者が主張する気候変動に関する明確かつ包括的な定義がないと指摘。気候変動の誤報を報告した後の対応について最新情報をユーザーに提供したり、アルゴリズムの変更が気候変動情報にどんな影響を与えるかについて定期的な報告を行っていないとしている。
- Source: Climate Action Against Disinformation
- via: CNBC The Verge