生成AIでAlexaが賢くなる?

Amazon Alexaが大規模言語モデル(LLM)でアップデート

Image:Amazon

アマゾンは水曜日に開催したイベントにて、大規模言語モデル(LLM)で強化した新しいAlexaを発表した。

デバイスおよびサービス担当シニアバイスプレジデントのデイブ・リンプ氏は、新しいAlexaがユーザーの会話におけるフレーズを理解してそれに適切に応答したり、文脈を効果的に解釈して1度の命令から複数のリクエストに対応し完了できると説明した。

AI音声アシスタントのAlexaは、古典的なSFに出てくるような人と音声で対話するコンピューターの姿を日常生活に浸透させてきた。しかし、その会話は定型化されたコマンドであり、そこから大きな進歩がないまま月日が流れてきたと言えるだろう。

一方、昨年後半から急速に一般に拡がった生成AIは、AI音声アシスタントよりも人間的な応答を可能にする技術であり、この分野のサービスを革新するのにも適する技術と考えられている。リンプ氏は「Alexa LLMはAlexaのユースケースに最適化された、本物の一般的な大規模言語モデルであり、BardやChatGPTなどとは異なる」と説明する。

たとえば「Alexa、寒い」というフレーズを言えば、新しいAlexaはユーザーの近くにある操作可能な暖房器具を使って室温を上げようとする。新しいAlexaは部屋のどこに何のデバイスがあるかを把握しており、スマートホームをより積極的にかつスムーズに管理するために必要な文脈を提供するという。

この文脈の理解力は、家庭内に新たなスマートホーム機器が追加されたことも把握でき、「『Alexa』新しい照明を点けて」と言えば、「新しい照明」が何を指すのかを理解して適切に操作できるとリンプ氏は述べている。

他にもLLMを用いる新しいAlexaは、一度に複数のリクエストを受け付け、対応できる能力を備えている。たとえば「『Alexa、庭のスプリンクラーを作動させて、ガレージのドアを開けて、外のライトを消して』と言えば、それらをすべて理解できる」とのこと。さらに声だけで即座にルーチンを作ることも可能だ。

また、アマゾンのスマートホームのエコシステムに含まれていないサードパーティ製の機器も、Dynamic ControllerおよびAction Controllerと呼ばれるツールによって制御できるという。

Dynamic Controllerは照明制御用の機能で、GE Cync対応のスマートカラー電球を設置しているとき「Alexa、この部屋を怖い雰囲気にしてください」と言えば、Alexaはルーチンプログラムなしにどうすべきかを解釈し、照明を調整できるとのことだ。

同様にAction Controllerは、Alexaが対応できる単純なアクションの追加を可能にする。ロボット掃除機に掃除をさせたいとき「Alexa、床が汚れている」と状況を説明すると、ロボット掃除機に作業を開始させられるのだ。

ただ生成AIには、一見正確のようで実はデタラメな内容を出力することがある、いわゆる「幻覚」を見てしまう問題が依然として残っている。リンプ氏はそれを最小限にとどめるためには「現実世界でそれを使ってみる」のに勝る方法はないと説明し、新しいAlexaのプレビュー参加者を募集している。

LLMで強化された新しいAlexaは、まず音声アシスタント機能が米国でプレビュー提供され、Echoデバイスがあれば誰でも利用可能になる。スマートホーム機能については招待制であり、前述のプレビューに参加すると後日招待をリクエストできるとのことだ。

なおAlexa LLMは、現在のところは無料だが「スマートホームを大きく強化できる超人的なアシスタントで、より複雑なタスクを代わりに実行できる可能性があるため、将来的には何か料金を請求することがあるかもしれない」とリンプ氏は述べている。

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