太陽フレアやコロナ質量放出を観測調査
インド、初の太陽観測衛星を打ち上げ。太陽活動が人工衛星や気候に与える影響を調査
インド宇宙研究機関 (ISRO)は、現地時間9月2日、初の太陽観測衛星Aditya-L1を打ち上げた。リフトオフから約63分後、極軌道衛星打上げ用ロケット(PSLV)から、予定どおり低軌道上に投入された。
Aditya-L1は今後、太陽と地球の重力バランスが均衡し、常に太陽を観測できる「ラグランジュ点(L1)」へ、4か月をかけて地球から約150万kmを移動。そこで太陽放射線やさまざまな太陽現象が、通信システムや衛星、電力網にどのように影響を与えるかを調べる予定だ。
今後、太陽観測衛星が収集した情報によって、科学者がコロナ質量放出(突発的なプラズマの塊の放出)を予測することができるようになれば、現象発生前に衛星の電力機器をオフにして、故障を回避することが可能になるなど、軌道上で動作する衛星の内部機器の防護強化を見込めるという。
さらに、Aditya-L1は太陽風の振る舞いや活動が、地球の気候にどのように長期的に影響を与えるかについても明らかにすることが期待されている。
このミッションの主任科学者であるシャンカール・スブラマニアン氏は、この衛星で得られる観測データが「太陽の活動や内部太陽圏を理解する」のに役立つと述べ、そのデータは「現代の技術や宇宙天候の側面にとって重要な要素」だと述べた。
ちなみに先日月の南極付近への着陸に成功したチャンドラヤーン3号の着陸機とローバーのコンビは、約2週間続く月の夜の訪れによってその活動を終了する予定だが、インドは2025年にも日本のJAXAとの協力により、再び無人着陸機およびローバーを月の南極地域に送り込むことを計画している。