小さくてもしっかりハイエンド

とことん片手操作したい人に。「Zenfone 10」はキビキビ動作で小型スマホ派にオススメ

ASUSが、コンパクトなハイエンドスマートフォンの新モデル「Zenfone 10」を国内発表した。海外では6月に発表され、一部市場ではすでに発売済みだが、日本では9月8日に発売となる。価格は8GB+128GBモデルが99,800円から。

日本では一定の需要がある小型スマートフォンだが、世界的には大画面モデルが売れ筋になっている。以前はXperia miniシリーズやiPhone 12/13 miniなどもあったが、いまでは姿を消してしまった。

そんな中にあって、2021年のZenfone 8、2022年のZenfone 9と5.9インチという片手に収まる小型端末を出し続けているASUSのZenfoneは、小型端末好きにとっては救世主のような存在とも言えるだろう。もちろん、今回のZenfone 10も5.9インチを踏襲している。今回は、そのZenfone 10を発売前に試用する機会があったので、使い勝手などをお届けしよう。

片手で操作できるコンパクトサイズ

Zenfone 10は、5.9インチ(2,400×1,080ピクセル)ディスプレイを持つコンパクトなスマートフォン。サイズは146.5×68.1×9.4mmで、厚みこそ前モデルのZenfone 9から0.3mm増えているが、縦と横のサイズは変わっていない。また、重さは172gでこちらも3gの増量となっている。

リフレッシュレートは最大144Hzに対応。ただ、144Hzが有効にできるのはモバイルゲームをプレイしている場合のみで、基本的には上限120Hzとなる。

背面は少しざらっとした表面処理で、滑りにくさと指紋の付きにくさを両立。新色のエクリプスレッド、コメットホワイト、オーロラグリーンにはバイオベースのポリカーボネイトが使用されている。

なお、本体のカラーバリエーションは上述のエクリプスレッド、コメットホワイト、オーロラグリーンのほか、先代モデルで人気だったというスターリーブルーとミッドナイトブラックをあわせた計5色展開となっている。

左からミッドナイトブラック、スターリーブルー、オーロラグリーン、コメットホワイト、エクリプスレッド

本体右側面にはボリュームと指紋認証センサーとスマートキー機能を兼用した電源ボタン「ZenTouch」を搭載する。Zenfone 9にもあったものだが、ZenTouch 2.0として使用可能な機能が増えている。

ZenTouchにはダブルプレス/長押し/スワイプに任意の動作を割り当てることができ、カメラやPayPayなどのQRコード決済アプリの起動、音声入力、Googleアシスタントの起動などを行える。スワイプ動作には、前/次のWebへ移動、動画の早送り/巻き戻し動作が追加された。

電源ボタンが指紋認証センサーとスマートキー機能を兼用したZenTouchになっている

上部には3.5mmジャックを搭載。小さいながら144Hz駆動などのゲーミング仕様も特徴としているので、イヤホンは遅延のない有線がいいという人にも安心だ。

このほか便利機能としては、画面内にフローティングウィンドウを表示できる「エッジツール」を搭載している。Zenfone 10でも上下の画面分割はできるのだが、さすがに分割してしまうと小さくなりすぎて使いにくい。そのようなときはエッジツールからアプリを起動すると、フローティングウィンドウとして利用できる。ウィンドウは好きな位置に移動できるほか、サイズ変更にも対応している。

画面端からスワイプするとメニューが表示。そこからアプリを起動するとフローティングウィンドウで表示できる

また、基本的には片手で十分に操作できるサイズ感なのだが、さらに片手操作しやすくするための片手モードも用意されている。画面下部を下にスワイプするだけで表示範囲が半分になり、例えば左手で持っているときに、左の親指で画面内のすべての箇所にタップできるようになる。そこまでストイックに片手操作をしなければいけないシーンは少ないと思うが、例えば電車で吊革に使っているときにスマートフォンを操作する場合などには覚えておくと便利かもしれない。

メインカメラは6軸ジンバル搭載で手ブレに強い

背面カメラは5,000万画素(50MP)の広角カメラと1,300万画素(13MP)の超広角カメラの2眼構成。5,000万画素カメラには6軸のジンバルモジュールを搭載しており、従来のスマートフォンよりも強力な手ブレ補正を実現しているとのことだ。

50MPのメインカメラ撮影は、基本的に4つのピクセルを1つにまとめるピクセルビニングにより4,096×3,072ピクセルサイズになる。解像度は下がるが、その分1画素あたりが取り込む光量が増え、画質的には有利になる。なお、設定で50MP(8,192×6,144ピクセル)のまま撮影することも可能だ。

メインカメラで撮影
マクロは非搭載だが、この程度までは寄れて、瞬間的にピントがあう

6軸ジンバルは動画撮影だけではなく、写真撮影でも利用可能。片手でさっと構えただけでも手ブレせずに撮影できる。小型なZenfone 10は縦向き横向きのどちらでも片手で保持しやすく、写真撮影も捗りそうだ。

小さくてもハイエンド

単に小型というだけでは、あまり使い勝手がいいものではないが、Zenfone 10はSnapdragon 8 Gen 2にRAM8GB/16GBとハイエンドな仕様だ。キビキビとした動作で、片手ですべて操作できるのは気持ちがいい。

実際、どの程度の性能があるのかベンチマークで確認してみた。まず、Geekbench 6のスコアだが、シングルコアが「2019」、マルチコアが「5457」となった。3Dグラフィック性能を測る3DmarkのWild Life Extremeは「3752」だった。

Geekbench 6のスコア(左)と3DMark Wild Life Extremeのスコア(右)

また、スマートフォンの総合的な性能を測るAnTuTuでは「1542600」という結果になった。なお、AnTuTuは、Google Playからはインストールできないので、apkを直接インストールしている。

AnTuTuのスコア

なお、ベンチマーク直後、本体の発熱が少し気になった。背面が熱くなるのはどのスマートフォンでも似たようなものだが、Zenfone 10では熱が側面の金属フレームに伝わるのか、持っている手が確実に「熱い」と感じる。筐体が小さいために、排熱処理は不利になっている可能性はありそうだ。

背面右上の温度はピークで約42度、側面フレームも38度となっていた

コンパクトな筐体に、ハイスペックな仕様を詰め込んだZenfone 10。価格も99,800円からと比較的手を出しやすい。決して安価だとは言わないが、スペックを考えれば妥当なところだろう。

なお、詳細な価格は、以下のようになっている。

  • 8GB/128GB(ミッドナイトブラックのみ):99,800円
  • 8GB/256GB(全色):112,800円
  • 16GB/512GB(ミッドナイトブラック、スターリーブル―):134,800円

また、別売りとなるが、専用ケースのConnexケースと、ケースに装着して使うConnexスマートスタンド、Connexカードホルダーのセット「Zenfone 10 Connex Accessories Set」も5,280円で発売となる。

別売りアクセサリのConnexスマートスタンドとConnexカードホルダー。どちらもConnexケースとセットで利用する

もちろん、スマートフォンは大画面のほうが使いやすいという人もいるだろう。むしろ、小型スマートフォン好きは少数派かもしれない。

しかしながら、片手で簡単に操作できる、気軽にポケットに入れて持ち運べるなど、小型スマートフォンには大画面スマートフォンにはない魅力があるのも確かだ。これまで大画面しか使ってこなかったという人にこそ、ぜひ1度体験して欲しいと思う。

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