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コーヒー豆の「出がらし」でコンクリートを強化する方法を発見

Image:Karynav/Shutterstock

オーストラリア・RMIT大学の研究者らは、焙煎済みコーヒーの「出がらし」を使ってコンクリートの強度を増強する方法を発見したと発表した。

論文の筆頭著者ラジーブ・ロイチャンド博士は、「有機廃棄物の処理は、大量のメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスを排出し、気候変動を促進するため、環境への課題になっている」と説明。オーストラリアでは毎年7500万kg(7.5万トン)のコーヒー抽出カスが生成され、そのほとんどがそのまま埋立てに使用されているとし、さらに世界合計では毎年100億kg(1000万トン)の抽出カスが産生されると述べている。

今回の研究は、その大量に生み出されるコーヒーの抽出カスが、コンクリートの性質改善に利用できることを証明した初の例とのことだ。

コーヒー抽出カスは有機物であるため、そのままでは他の材料と結合せず、コンクリートに混ぜ込んでも機能しない。そこでロイチャンド博士ら研究チームは、抽出カスをより扱いやすくするため、酸素に触れない状態で約350~500℃の加熱処理を行い、それをコンクリートの材料であるセメント砂に5%、10%、15%、20%の体積割合で配合して、どのように作用するかを調べた。

その結果、研究チームは350℃で熱分解させたコーヒーのカスを15%の体積比で混合したときに、コンクリートの圧縮強度が29.3%向上することを確認した。

ロイチャンド博士はこの結果について「排出物を削減し、より強力なコンクリートを作るだけでなく、砂などの天然資源の継続的な採掘による影響を減少させる」ものだと述べた。

またRMITの副学長でこの研究の共著者のひとりでもあるシャノン・キルマーティン=リンチ博士は「われわれの研究はまだ初期段階ではあるものの、これらの興味深い発見は、埋立てられるだけだった有機廃棄物の量を大幅に減少させる革新的な方法を提供するものだ」とコメントした。

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