クラシックゲームが失われる恐れ

アップルがApp Storeから“古いアプリ”を削除する動き。「すでに完成したゲーム」の開発者は反発

App Store

アップルが一部の開発者に対して、「かなりの期間、更新されていない」アプリをApp Storeから削除すると警告していることが明らかとなった。インディーズアプリやゲーム開発者からは懸念の声や、実際に削除されたとの報告が寄せられている。

そうした警告を受けたという「Protopop Games」氏は、Twitterにてアップルから送られてきたというメールのスクリーンショットを公開している。「このアプリは相当期間更新されておらず、30日後に販売停止になる予定」であり、それまでにアップデートを提出しない限りApp Storeから削除される、という趣旨だ。

一般的なアプリでは、アップルの最新APIを使ってアップデートを求めることは、新型iPhone等でのユーザー体験を改善につながるとの指摘もある。が、そもそも「アップデート」という仕組みに適していないカテゴリもある。バグ取りさえ終わってしまえば、ユーザー体験を変える必要もない(特にオンラインの要素を持たない)、昔ながらの「ゲーム」だ。

開発者のEmilia Lazer-Walker氏は、アップルが自らの古いゲームを何本かApp Storeから削除したと苦情を訴えている。「ゲームは完成品として存在できます。これら無料プロジェクトは更新やライブサービスモデル(ユーザーの注目を集め続けるため、コンテンツを継続的に進化させていくタイプ)に適しておらず、何年も前に完成した芸術作品なのです」と主張しているのだ。

以前からアップルは「App Storeの改善」ページで、「App(アプリ)の評価、正常に機能しなくなったAppや最新の審査ガイドラインに準拠していないApp、古くなったAppを削除するプロセスを実施」すると宣言している。しかし一方で、App Storeに残り続けるために必要な更新の頻度が明らかにされていないことも事実である。

かつてのビデオゲームには「アップデート」という概念がなかったし、他社のゲームプラットフォームでも10年近く前に更新が止まったままのゲームがあることも珍しくはない。もしも「しばらく更新がないから」と機械的に削除されていくとすれば、多くのiOS/iPadOS用クラシックゲームが失われていく恐れもあるだろう。

なお、テックメディア The Vergeからの問い合わせに対して、アップルからの返答はない(23日時点)。今後もアップルの動きを注視していきたいところだ。

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