あの頃のTwitterはもうありません

多くの科学者が X(Twitter)から離脱し、代替手段を探しているとの報告

Image:Shaheerrr / Shutterstock

調査会社Pew Researchは今年はじめ、米国内でTwitterからユーザーの多くがこのSNS上で過ごす時間が減少したと報告した。そして、Natureに報告された新たな情報では、数千人の科学者もまた、TwitterからXに改名したこのプラットフォームに費やす時間が減少し、サービスから距離を置いていると報告されている。

9200人以上の科学者を対象に行ったというNatureへの報告では、Twitterを利用してきた科学者、研究者たちの半数以上が、Xの利用時間を減らした、もしくはもはや完全にこのSNSから離れてしまったと述べられている。そしてその多くはTwitterの代替サービスとしてMastodonやInstagram、Threads、TikTok、Blueskyなどに参加している。

調査で最も移行先としての回答数が多かったのが、約7年前から存在しているMastodonで、約47%の研究者が過去1年のあいだにこのオープンソースプラットフォームの利用を開始したと述べている。次に多いのはLinkedInで35%、そしてInstagramの27%が続いている。また先月ローンチしたばかりにもかかわらずTheadsが4番目に使用開始が多かった。これはInstagramとの関連性の高さも後押ししているかもしれない。

一方、Blueskyは知名度も人々からの期待感も高いようだが、いまだ招待性を採用しているためか、調査対象となった科学者たちの6%がアカウントを作るにとどまっている。

このような代替SNSへの流出は、科学界における多様性や公平性、包括性の面で後退になる可能性が懸念される。以前のTwitterなら、ほとんどの人がこのサービスにアカウントを持っていたため、科学者は自身の研究に関する情報を広く発信し、科学的な議論を促進する場としても有効だった。特に、社会学者や言語学者、公衆衛生などあらゆる分野における研究者にとって、プラットフォーム全体が貴重な情報源だったと言える。従来なら見落とされがちだった研究が、Twitterを通じて人々に注目されるようなケースもあった。

しかしそうした環境はいまや一変しており、Xでは科学そのものを否定したり、科学的根拠のない誤情報を発信するアカウントや、荒らし行為、人種差別を肯定する投稿を繰り返すアカウントが増加しているように感じられる。またプラットフォーム側も、ヘイトや誤情報の拡散などで永久追放されたアカウントを復活させている。

さらには、きちんと検証された信頼のおけるユーザーの証だった認証バッジが、現Xオーナーであるイーロン・マスク氏の意向によって有料販売されるようになり、単にお金を支払ったユーザーたちの投稿がプラットフォーム上で優先表示されるようになったため、そうでないユーザーの投稿はかき消されがちになっている。

ただ、研究者の誰もが、かつてのTwitterの姿が失われることが科学界に対する打撃になると思っているわけではない。ある研究者は「科学がソーシャルメディアに過度に依存しているとは思わない」とし「猫が戯れる動画の合間に、科学的な内容の投稿が流れて来るような環境が、プロフェッショナルな人々に自分自身の研究を売り込むのに良い環境とは思わない」と述べている。

英Manchester Institute for Educationのデジタル社会学者であるマーク・キャリガン氏は、「Twitterが学問を民主化するのを助けた」という考えは「少し短絡的なもの」であり、実際のところソーシャルメディアは「学問のセレブリティ」たちが栄える空間を作り出したが「無名でまだ評価も高くなく、その声も届きにくい研究者たちは、その地位を高めるために苦労している」と述べている。そして「Twitter は終わったと私は99%確信している。これらの問題の解決策を見つけるためには、学者たちがそれを早く受け入れるほど良いだろう」とした。

オーストラリア国立大学の研究研修ディレクターであるインガー・ミューバーン教授は、SNSに頼れなくなれば、特にカンファレンスに行くお金がない科学者などは人脈やキャリア形成が難しくなったと感じるかもしれない」としつつ、いずれまた誰かが創造的な新しいアイデアを生み出し、問題を解決することに期待していると述べた。

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