株式非公開化へ。規制当局などの承認が必要

Twitter、イーロン・マスクの買収受け入れを決定。これから何が起きるのか

Image:TED/YouTube

Twitter取締役会は、イーロン・マスク氏からの買収提案を受け入れることを満場一致で決定した。取引は2022年に完了する予定だが、まずは規制当局の承認と株主の賛同を得る必要がある。

Twitterはプレスリリースを発行し、イーロン・マスク氏が4月14日にオファーした1株あたり54.2ドルでの買収提案を受け入れたことを発表した。買収総額は440億ドル(約5.6兆円)。

マスク氏はリリース文で「Twitterは人類の未来に不可欠な問題が議論されるべきデジタル上の公共の場だ」と述べ「新機能で製品を強化し、アルゴリズムをオープンソースにして信頼を高め、スパムボットを打ち負かし、すべての生身のユーザーを認証ユーザーとすることで、Twitterをこれまで以上に改善したい」と買収に際しての抱負を述べている。

一方、Twitterのパラグ・アグラワルCEOは「Twitterは全世界に影響を与える目的と関連性を持っている。我々のチームを深く誇りに思い、かつてないほど重要な仕事にインスパイアされている」と、買収に応じることを前向きに述べた。

ただ、アグラワル氏がTwitterのCEO職を続けるかは不透明だ。マスク氏は以前、アグラワル氏を旧ソビエト連邦の指導者スターリンと比較するツイートを投稿したり、Twitter買収の申し出の際にもアグラワル氏のことを「経営に自信を持っていない」と述べていた。

マスク氏は個人筆頭株主になって以降、投稿済みツイートに編集(再編集)ボタンを設置することや、Twitter Blueプランユーザーに対する広告削除とサブスクリプション価格引き下げ、そして本気かどうかは不明ながら、マスク氏お気に入りの暗号通貨Dogecoinによる支払いオプションの追加といった変更案を矢継ぎ早に打ち出している。

ユーザーの立場から見れば、マスク氏の言う「これまで以上に改善」がどの立場の人にとっての改善なのかが、意見の分かれるところかもしれない。たとえば、Twitterがこれまで行ってきた、悪意のある表現、誤った情報、嫌がらせ、その他の有害なコンテンツを抑制するための取り組みやポリシーの運用に手が加えられる可能性がある。

米国でトランプ政権が発足したころから、Twitterを含むSNS界隈では様々な事実と異なる主張や陰謀論などの投稿が散見されるようになり、Twitterは問題のあるツイートへに注意喚起のラベルをつけたり、酷い場合は非表示化するなどと言った対策をそのユーザーポリシーに則って実施してきた。

そしてネット上でのエチケット(死後化したワードを使えばネチケット)が形骸化していることへの対策として、2021年には暴言や醜い言い争いを抑えるための警告機能”Heads Up”などもテストしていた。そのような取り組みが「言論の自由絶対主義者」を標榜するマスク氏によって取り消されることも考えられる。

イーロン・マスク氏は、2018年8月にTwitter上で突然テスラの株式を買い戻して非公開化すると述べ、そのための資金も用意したとツイートした。これが株価操作にあたるとして米証券取引委員会(SEC)に訴訟を起こされ、それ以降もずっと目をつけられている。

今回のTwitter買収提案に際しても、Twitterの株式を大量に購入した際にSECに提出する開示書類を定められた期限が過ぎてから出し、課せられた罰金をはるかに上回る額の利ざやを株価変動によって得たとして、既存株主の一部から集団訴訟を起こされている。

こうした”お行儀の悪さ”からか、Twitter社内でもマスク氏の買収提案を快く思っていない人は多いようだ。New York Timesは、従業員はTwitter経営陣とマスク氏の間のやりとりについてはまったく知らされることがなく、マスク氏が買収して非公開化された場合にストックオプション(あらかじめ定めた額での自社株購入権。将来株価が上昇した際に権利を行使することで差額を利益に変えられる)の扱いがどうなるかを心配する声も上がっていると伝えている。

Twitterは他のライバルとなるソーシャルメディアに比べれば規模も小さく収益も少ないが、多くの政治家や著名人、影響力ある人々がその情報発信のために使用しており、その影響力に紛れ込む有害なコンテンツの取扱い方法で、他のソーシャルプラットフォームのモデルとして機能している一面もある。Twitterの動きが変われば、他のソーシャルメディアにも何らかの影響が及ぶこともありそうだ。

CNNによると、Twitter買収が伝えられた後、全米黒人地位向上協会(NAACP)のデリック・ジョンソン会長は、マスク氏に向けた声明のなかで「Twitterがヘイトスピーチや民主主義を覆す虚偽情報の培養地になることを許してはならない」と述べたとのことだ。

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