どうやってマネタイズに繋げるのか

Google、LLM技術で音声アシスタントを「超強化」する方針か

Image:JRdes/Shutterstock.com

Googleは社内で、最新のLLM(大規模言語モデル)技術でGoogleアシスタントを強化すると通知したことをニュースメデイアAxiosが報じている。

AxiosはGoogleの社内メールを入手。それによると、Googleは「人々の生活を変革する生成系の深遠な可能性」に言及し、「最新のLLM技術により超強化した(supercharged)アシスタントがどれほどのものになるか追求する巨大なチャンスがあると考えている」と述べているそうだ。

また、「すでにチームの一部は作業を始めており、その手始めがモバイル」とのこと。これはAndroid版のGoogleアシスタントを指していると思われる。

これまで同社の生成系AI技術はチャットボットAI「Bard」やモバイル版Gmailアプリでメール作成を手伝う「Help me write」などに利用が限られてきた。が、Androidスマホ上のGoogleアシスタント向けにも準備中である手がかりは、先日も発見されていた。Chromeブラウザで閲覧中に「Summarize this(これを要約して)」と音声で頼むと、長文のウェブ記事を要約してくれるというものだ。

スマートスピーカーとディスプレイは、すでに巨大なユーザー人口を擁するフォームファクターである。これら音声優先のデバイスとGoogle Bardを連係させることは、生成系AI市場を飛躍的に拡大する可能性を秘めるはずだ。

実際Googleは、エンドユーザーからの「生活を向上させられる補助的な会話技術への強い要望」を認識していると述べているという。

今回のメールは「アシスタントの展望とチームの変更」と題されたもの。残りの部分は社内での再編成が説明されており、役職が廃止される従業員には通知済みとのこと。情報筋によれば、Googleアシスタントに関わる数千人のうち数十人が職を失うことになるそうだ。

最後にGoogleは「引き続きGoogleアシスタントに深くコミットし、その明るい未来を楽観視している」と述べている。今後も音声アシスタントに注力しつつ、LLMを中心にAI技術を一新していくようだ。

ここ1~2年、Googleアシスタントには大きな新機能は導入されてこなかった。米AmazonもAlexa対応製品を含むデバイス事業のリストラを打ち出していたが、音声アシスタント市場は全般的に大きな利益を生み出すものではなかったのかもしれない。

もしも音声アシスタントがLLMにより「超強化」されても、今のところGoogle Workspaceのようにマネタイズの道筋があるわけではない。マイクロソフトがAIチャット機能を組み込んだ企業向けサービスで攻勢を掛けていることに対抗する動きとも思われるが、今後どうやってビジネスとして定着させていくのか、Googleの戦略を見守りたいところだ。

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