先週にオーストラリアやメキシコなどでもベータ開始

TikTok、音楽ストリーミング事業を拡大中。米国以外での成長を模索

Image:TikTok

TikTokは、今月はじめにインドネシアおよびオースオラリアでApple MusicやSpotifyと競合する音楽ストリーミング事業「TikTok Music」を開始した。

そして、先週にはWarner Music Groupとのライセンス契約を強化、音楽コンテンツの充実を図るとともに、オーストラリア、メキシコ、シンガポールでもTikTok Musicのベータ版を開始している。

TikTokの音楽ストリーミング事業はまだまだ初期段階と言えるが、TikTok Musicにはすでに大規模かつ若年層中心のユーザーベースがあり、プロモーションのコストを低く抑えつつ、月額サービスへの加入者を増やしやすいという利点がある。またTikTokサービス内でバイラルになっている楽曲のフルバージョンを再生したり、コメントしたりして、他のユーザーと交流することもできるとのことだ。

もちろんTikTok Musicでも、多くの音楽ストリーミングサービスが備える、ユーザーの趣味嗜好に合わせパーソナライズされたおすすめ曲の再生、再生時のリアルタイム歌詞表示、フレンドとの共有プレイリスト作成といった機能が利用できる。

英国の分析企業MIDiA Researchは、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国、ブラジルにまたがる合計9000人を対象とした調査で、音楽的需要の高い16~19歳のユーザー層にとって、TikTokはYouTubeに次ぐ2番目の音楽情報源だと報告している。

MIDiA Researchは「多くの人々はTikTokで様々な楽曲に触れるものの、その楽曲を探して通して聴いてみたり、演者であるアーティストに関して調べることはない」と述べつつ「TikTok Musicには、そうしたギャップ埋めるかもしれない、高い可能性がある」としている。

International Music Summit Business Report 2023によると、世界の音楽ストリーミング市場シェアは、Spotify(約31%)とApple Music(約13.7%)が大きくリードしている。MIDiAはこれに対し、TikTokのヘビーユーザーがすでにSpotifyなど競合他社を利用している場合、支払いの統一やTikTok内のコンテンツで聴いた音楽にすぐにアクセスできる利点を考慮し、TikTok Musicに乗り換える可能性があると指摘した。

また、Phillip Securities Researchのアナリストは、それでもSpotifyとApple Musicにとっては取るに足らないレベルの話だろうとの見方を示ししつつ「TikTok Musicが一定のシェアを獲得する可能性は間違いなくある」とも述べた。

最近のTikTokは、風当たりのきつい米国よりもその他の国々で成長を模索しており、特に東南アジア市場に積極的に展開する考えを示している。

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