実は地球サイズは珍しくないのかも

軌道を回らない「浮遊惑星」候補が6個もみつかる。ひとつは地球と同じぐらいの質量

Image:NASA’s Goddard Space Flight Center

大阪大学とNASAほかの共同プロジェクトが、恒星の重力に縛られない、自由浮遊惑星と思われる天体を6個発見したと発表した。このうちのひとつは地球と同じぐらいの質量をもつと考えられ、これまでで2個目の発見事例になるとのこと。

惑星は恒星と違って自ら光を発しないため、通常の観測で発見するのはとても難しい。しかし、近年はトランジット法などによって太陽系外惑星が多数発見されるようになってきた。今回、研究チームは天体の重力場による空間の歪みで、その天体の背後にある遠い恒星の光がより明るく見える重力マイクロレンズ現象を利用したため、主星にとらわれない自由浮遊惑星を発見することが可能になったと説明している。

惑星の形成過程は複雑だが、その多くは形成中に周囲の天体の重力と相互に作用し、次第に主星である恒星を周回する軌道に落ち着いていく。しかし、地球ほどの軽い天体の場合は、恒星との相互作用もそれほど強くないため、なんらかの要因によって軌道を外れ、宇宙空間に放り出されてしまう場合がある。こうした天体は、何かに縛られることなく、星々の間の宇宙の闇に紛れていく。

研究チームいわく、NASAが2027年5月までに打ち上げる予定としているナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡が稼働すれば、さらに400個もの地球サイズの浮遊惑星が見つかるかもしれないとのことだ。さらに、観測で得られたデータからは、自由浮遊惑星は恒星を周回する惑星よりもはるかに多いことが予測されるとしており、宇宙空間においては地球サイズの浮遊惑星は実はめずらしくもなんともないと言えるかもしれない。

この発見は、ニュージーランドにあるマウントジョン天文台で9年にわたって行われた重力レンズ探索(Microlensing Observations in Astrophysics:MOA)による調査データから得られた。論文はThe Astronomical Journalに掲載される予定とのこと。

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