一般ユーザーが遊べるのは数年後?

Apple Vision ProのネイティブARゲームが開発できる「PolySpatial」ベータ、Unityが公開

Image:Apple

アップルの空間コンピュータことAR/VRヘッドセット「Vision Pro」は、世界開発者会議WWDCの基調講演ではゲームが遊べることも強調されていた。とはいえ、デモされていたのはApple Arcade、つまり「iPhoneやiPadで動くゲームアプリ」ばかりだった。

その一方、基調講演ではUnityが、visionOSゲーム開発プラットフォーム「PolySpatial」を提供することにも言及されていた。ヘッドセット内の仮想ディスプレイで遊ぶ2Dゲームではなく、空間体験を楽しめるネイティブアプリが作成できるというわけだ。

すでに6月から参加申込みが受け付けられていたが、ようやくベータプログラムが初公開された。

なおアップルはUnity開発環境につき、「堅牢で使い慣れたオーサリングツールを使い、新たなアプリやゲームを開発したり、Unityで作成した既存プロジェクトをvisionOS用に再構築できるようになった」と謳っている。これはWindows用ゲームをMacに移植しやすくする「Game Porting Toolkit」と同じ方向性だろう。

また「AR Foundationなど使い慣れたUnityの機能に加えて、パススルーやDynamically Foveated Rendering(ユーザーの中心視野ほど高解像度に、視野の外側は低解像度で描く手法。システムへの負荷を下げる)のようなvisionOSのすべての利点を活用できる」という。要はVision Pro特有の機能をフルに活かせるということだ。

さてUnityのPolySpatial公式サイトによれば、同社は「アップルとのコラボレーションにより、この新しい空間コンピューティング・プラットフォームApple Vision Pro向けに、没入感あるゲームやアプリを開発するため使い慣れた強力なオーサリングツールを提供できることを嬉しく思う」とのこと。

興味深いのは、Unityの新たなPolySpatial技術とvisionOSの深い統合により、あなたのアプリは共有スペースの中で他のアプリと並べられる」など、アップルとの緊密な協力が示唆されていることだ。

実際、Unity CreateのジェネラルマネージャーであるMarc Whitten氏はTechCrunchに対し、アップルの開発ツールRealityKitとの統合がPolySpatial開発の鍵になったと語っている。それにより、Unityアプリを「実際に現実空間内に置くことができ、同時に他の体験(それがUnityであろうと、Reality Kitであろうと、他のアップル製体験だろうと)と並べられる」と語っている。

またアップルのVision Pro担当副社長Mike Rockwell氏は、PolySpatialは開発者がVision Proの機能を最大限に活用できるよう、可能な限りハードルを下げるものだと述べている。「UnityベースのアプリやゲームはApple Vision Pro上でネイティブ動作するため、低遅延パススルーや高解像度レンダリングなど、画期的なvisionOSの機能を利用できる」とのことだ。

Vision Proは高価なことに加えて、製造の難しさにより2024年内の出荷は40万台に留まると見られており、今後1~2年は一般ユーザーにとって縁遠いものとなるだろう。それでもアップルがゲーム開発環境作りに注力しているのは、数年後の廉価モデルでの普及を見据えてのことかもしれない。

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