Quest Proは3月に大幅値下げ

MetaのARメガネ、マイクロLED採用を断念か。Quest Proの先行きにも暗雲

Image:Tero Vesalainen/Shutterstock.com

Metaは旧Facebook時代から、VRヘッドセットの普及に力を注いできたハイテク大手の筆頭である。その一方で、ARグラス(メガネ型の拡張現実デバイス)に取り組んでいることも発表済みだ

その一般向け初代ARグラスには、当初予定していた高性能ディスプレイは搭載されず、代わりに旧式のガラスレンズとディスプレイ技術が搭載されると報じられている。

Metaは第1世代のARグラスを2024年にリリース予定とは以前もお伝えしたが、その後The Vergeは、それが一部の開発者と社内テスト向けに限られると報じた。同社初の消費者向けARグラス、開発コード名「Artemis」は「より嵩張らないデザインと、より高度なディスプレイ技術を搭載」し、2027年発売と予想されていた経緯がある。

有料ニュースメディアThe Informationは、この新技術とはマイクロLEDだったと報道。すなわちApple Vision Proに使われているものと同じ方向性である。

だが、Metaは一般向けARグラスでの採用を諦め、代わりにLCoS(Liquid Crystal on Silicon)を採用するとのこと。90年代に映画用プロジェクターに初採用された枯れた技術であり、記事の著者ウェイン・マー氏も「この(ディスプレイ)技術は明るいという評判は聞かない」と指摘。画面の明るさは、照度の高い環境でも現実世界にグラフィックを投影するAR製品には不可欠である。

さらにArtemisには、ガラス光導波路を使うとのこと。これは光を屈折させ、メガネを通じて人間の目に安全かつ正確に透過させる技術だが、視野を50度に制限する可能性がある。当初Metaは、70度の視野角を実現できるシリコンカーバイドの採用を予定していたという。

マイクロソフトの第2世代HoloLensとMagic Leap Oneは、いずれも視野角50度である。この方面では、MetaのARグラスは競合他社への優位性をアピールできないようだ。

そうして一般向けARグラスをダウングレードする一方で、開発者と社内向けの初代バージョンは、よりハイエンドのMicroLEDディスプレイとシリコンカーバイドを使ったレンズを搭載し、70度の視野を可能にするという。

ほか一般向けARグラスでは、「コンピューティングの一部を軽減」するために、楕円形の無線パックの一部パーツを交換するという。具体的には、当初予定していたLiDARセンサー(レーザー光を照射して、反射光の情報を元に対象物の距離や形状を測定)を搭載しないとのこと。これは「デバイスの周囲を検知し、顔や体を含む3Dオブジェクトをデジタルの世界に取り込む」はずだったと報じられている。

これらは数年後の話ばかりだが、直近で興味深いのは、ハイエンドVRヘッドセット「Quest Pro」が売れ行き不振のため、部品がなくなりしだい製造を中止するというくだりだ。

また、今後発売予定のQuest 3を含む、より安価なQuestヘッドセット製品に重点を移すため、第2世代Quest Proの生産計画も延期するとのこと。MetaがTwitter対抗のテキストベース会話アプリ「Threads」に力を注いでいるのは、AR/VR部門の不調を補う意図もありそうだ。

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