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太陽の黒点や銀河も撮れる。スマホを天体望遠鏡にする「Hestia」が支援募集中

Iamge:Vaonis

夜空にきれいな満月を見つけたとき、スマートフォンのカメラを向けた人なら、撮れた写真の出来栄えにがっかりしたことがあるだろう。フランスのスマート望遠鏡メーカーVaonisは、初のスマートフォンベースの天体望遠鏡を謳う「Hestia」を開発、製品化のための支援をKickstarterで募集している。

スマート天体望遠鏡としては、1499ドルのVesperaや、4万5000ドルもするHyperiaといった製品までをカバーしているVaonisだが、これらはいずれもスマホアプリを介して制御するカメラ内蔵タイプだったが、Hestiaは天体望遠鏡の部分に特化した製品だ。

Hestiaはあらゆるタイプの天体ターゲット向けに設計されており、大きさ17×25×5.5cmの本体上面部分にある接眼レンズにスマートフォンのカメラを設置することで、日中の太陽の写真だけでなく、夜の月や遠くに光る銀河の写真撮影がスマートフォンのカメラ機能を使って行えるようになる。

内部には特許取得済みの3群6枚構成のレンズ設計を採用しており、30mmの対物レンズとプリズムで集めた光をスマホカメラの焦点に合わせる。視野は1.8度で、取得される画像は専用アプリによってJPEGまたはTIFF形式で保存する。

倍率は最大25倍で撮影でき、ソフトウェアには何枚もの短時間露出画像を1枚に合成することで、鮮明な天体画像を得る機能も備えられている。

アプリには夜空の天体地図を表示することもでき、ターゲットの位置を特定したりすることが可能、気になる天体に関する情報を調べることも可能なので、観測と同時にその天体に関する知識を得ることができる。

Kickstarterキャンペーンでは、本体単体なら189ドルからリワードとしてHestiaを入手できる支援枠が用意されている(149ドルの枠は記事執筆中に売り切れた)。また専用の三脚や太陽観測用のフィルター、ハードケースといった付属品がセットになった支援枠もある。

あくまでクラウドファンディングであるため、支援しても予定通りリワードが用意できなくなったり、不測の事態によるプロジェクト中止もあり得るが、すでに目標額を大きく上回る額を集めているため、大きな心配は必要なさそうだ。ちなみにKickstarterキャンペーン期間は8月17日までとなっている。

プロジェクトがすべて順調に進むならば、Hestiaの発送は12月ごろから開始される予定だ。2024年4月の皆既日食は日本では見ることができないが、天体観測を手軽に、スマホのカメラに収めてみたいと思うなら支援する価値はありそうだ。なお、この製品は発送地域が限定されているが、日本への発送も可能となっている。

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