「100年企業」の残り85年を持ちこたえられるのか
Evernote、米国とチリの従業員をほぼ全員解雇。事業をヨーロッパに移管
クラウドメモアプリのEvernoteは、米国とチリのほぼ全ての従業員を解雇したと発表した。親会社Bending Spoonsが拠点を置くヨーロッパに事業のほとんどを移すための措置と説明されている。
今回の決定は「業務効率を高め、ヨーロッパで非常に強力なBending Spoonsの親会社ブランドを最大限に活用する」ことが狙いとのことだ。先週末にニュースサイトHacker Newsが噂話を報じていたが、それが裏付けられた格好である。
昨年11月、Bending SpoonsはEvernoteを買収。当時EvernoteのCEOは、この買収によりBending Spoonsの「実証済みのアプリに関する専門知識と幅広い独自技術」を活用し、新機能の構築に取り組めると述べていた。
だが、今年2月には129人の従業員を解雇。Bending Spoons広報は、Evernoteは何年も採算が取れておらず「長期的には維持できない」状況だと語っていた。
今回の解雇は、従業員には7月5日に伝えられ、16週間分の給与や最長1年間の健康保険、年末の業績目標をすでに達成したものとして日割りで支払われる業績ボーナス等も含めた離職パッケージが提供されるという。
Evernoteは2008年に登場し、当時としては先進的なノートアプリとして人気を集めた。しかし2010年代半ば以降、メモをため込みほど動作が重くなるなどアプリの評判も芳しくない一方で、OneNoteやGoogle Keep、最近ではNotionなど競合アプリの猛追を受けていた。
元愛用者からは、これまで無料だった機能を有料ユーザー限定にしたこと、従業員を増やしすぎて値上げしたことがユーザー離れを招いたとの指摘もある。
また上記のHakcerNewsは、Bending Spoonsが業務を引き継いだ後「購読料を値上げし、その収益を新機能に充てるつもりだ」と一部顧客に伝えたとも報じている。
Evernoteの共同創業者で元CEOのPhil Libin氏は、同社が「100年続く企業」になると語っていた。まだ創業から約15年ではあるが、ユーザーが預けたデータを守るためにも、残り85年を生き延びるよう祈りたいところだ。