プロセスルールの数字が同じならTSMC>サムスン製

Google「Tensor G5」チップは2025年投入、TSMCの3nm技術で性能大幅アップか

Image:Google

GoogleのPixelスマートフォン他に搭載されるTensorチップは、単純にベンチマーク結果だけ見れば同世代のハイエンドチップには及んでいない。その性能向上のカギを握ると見られるのが、委託製造先をサムスンからTSMCに切り替えることだ。

たとえばサムスン製造のExynos 2200チップとTSMC製造のSnapdragon 8 Gen 2は両方とも4nmチップだが、マルチコア性能は後者が4割以上も上である

しかし、TSMC製造に移行するのは2025年の「Tensor G5」になると、ニュースメディアThe Informationが報じている。

同誌によれば、当初は2024年にPixelスマホ向けに「初のフルカスタム(完全独自設計)チップ」を発表する予定だったという。歴代のTensorチップが実はサムスンのExynosベースであり、次期「Tensor G3」も「Exynos 2300」ベースだと噂されている。今回の記事は、TensorシリーズがExynosそのままではなく「通信やオーディオから画像やグラフィック処理に至るまですべて」を世代ごとに独自技術に置き換えているとも述べている。

さておき開発コード名「Redondo」は機能を削ったものの、昨年の量産試作の期限に間に合わず、TSMCへの引き渡しは「今年初め」になったとのこと。それでも2024年までの量産も実現できず、現在は次世代(おそらく「Tensor G4」)に先駆けてテストチップとして使われているそうだ。

さらにRedondoは「Tensor G4」として投入する代わりに、コード名をLagunaと改めて「Tensor G5」として登場する可能性が高いという。Pixelスマホで言えば「Pixel 10」というわけだ。ちなみにRedondoもLagunaも、米カリフォルニア州のビーチ(レドンドビーチとラグナビーチ)にちなんでいるようだ。

この「Tensor G5」はTSMCの3nmプロセスにより製造され、薄型化と省電力を実現するパッケージ技術「InFO (Integrated Fan-Out WLP)」が使われるという。

Googleの元チップ担当幹部によると、フルカスタム版Tensorチップの投入が遅れている一因は、エンジニアが米国とインドに分散していて作業を調整する難しさと、開発グループ内の離職率の高さにあるという。

また、まだPixelスマホが大量に売れていないため、Googleは独自設計チップへの投資額については弱気だとも語られている。昨年の販売台数はわずか780万台とのことだが、この数字はアップルやサムスン製デバイスをはるかに下回る。投資を回収できるかどうか危ういことを考えれば、独自設計チップに取り組むこと自体が大胆とも言えそうだ。

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