新規登録は一時停止中
もうひとつのTwitter代替SNS「Spill」が人気上昇中。元Twitter従業員が設立
2人の元Twitter従業員、アルフォンソ・”Phonz”・テレル氏とデヴァリス・ブラウン氏によって設立されたTwitter風SNS「Spill」の人気が上昇している。Spillは1月にサービスを開始し、6月中旬にはiOS版アプリがベータ版としてリリースされた。
2人のうちテレル氏は、イーロン・マスク氏に解雇される前、ツイッター社のソーシャル&エディトリアル部門のグローバル責任者として務めていた人物で、Spillは「文化の進む速度に合わせた、視覚的なやりとり」をコンセプトに掲げ、「頻繁に新しいトレンドを生み出しながらも、日常的に無視され、過小評価されている “カルチャードライバー(文化推進者)” に応える」ことを目的としていると以前にTwitterで述べていた。
同氏は、過小評価されているカルチャードライバーとは、たとえば「黒人のクリエイター、クィアのクリエイター、そして米国外のさまざまな影響力のある声を意味する」とし、これらの人々に対応するプラットフォームをまっさらな状態で構築し、彼らやその多様なコミュニティが直面している中核的な問題を解決できれば、誰にとっても良い体験になるだろうと考えた」とAfroTechのインタビューで語っている。
Twitterでは、こうした過小評価されたカルチャードライバーの多くは黒人コミュニティに属し、インターネット上でミーム化している様々な言い回しやコンテンツを生み出しているにもかかわらず、クリエイターとして認識されていないことが多いとされている。
一方でマスク氏は、Twitterを手に入れて以来、かつて暴力行為の煽動やその他ヘイト関連の問題で凍結したユーザーのアカウントを復活させている。さらに今年4月には、Twitterのヘイト行為に関するポリシー条項から「女性、有色人種、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、インターセックス、アセクシャルの個人、そして社会の非主流派であり歴史的に少数派のコミュニティ」を標的とした攻撃的な行為を禁止するという条項を、ユーザーに告知することなく削除した。
こうした出来事が相次ぐにつれ、過小評価されているカルチャードライバーたちは、プラットフォーム上での自らの立ち位置や自己防衛について考え直さなければならなくなってきた。
そこへ、Twitter代替サービスのひとつとしてSpillが登場した。そのiOSアプリがリリースされたことで、複数の人気アカウントがSpillへ移行し、それに従って彼らのコミュニティも、まさに “流出(spill)” し始めている。
ただしSpillもBluesky同様、まだベータテスト中のサービスなので、誰でもすぐに登録できるというわけではない。アカウントを作成するにはまず、既存ユーザーから招待用のコードを受け取るか、ベータテスター向けの順番待ちリストに並ぶ必要がある。特に、先週末のTwitterの混乱の余波で新規登録希望が押し寄せたことで、Spillも一時的に新規登録を断らざるを得ない状況になっていた。
Twitterが今後どう変化していくかはわからないが、Twitterからどこかへ移行しようと思ったとき、いまTwitterの代替として挙げられているいくつかのサービスに関してはその特色などをあらかじめ知っておくと、いざというときの意思決定に役立つかもしれない。