ハブ製品のMatter対応は2023年夏の予定

「Matter」対応を進めるAmazon、Alexaは追加機能でさらに使いやすく

編集部:平山洸太

Amazonは、同社の音声アシスタント「Amazon Alexa」やスマートホーム事業についての説明会を実施。スマートホームの共通規格「Matter」への取り組みについても改めて紹介を行った。

Amazon Alexaは2014年にリリースされ、日本には2017年に上陸。今日では対応デバイスは14万以上にのぼり、対応言語も17種類にまで増えている。また日本では、去年1年間で4000万回の「おはよう」、3000万回の「ただいま」、1000万回の「大好き」がAlexaに話しかけられた。

コネクテッドデバイスの数は2025年までに750億台に到達するとみられ、特にアジアパシフィックでは年間20%も成長していくと言われている。日本では現在、約33%のユーザーがスマートホームデバイスを日々使っている状況だという。

Amazon Alexa インターナショナル、ジャパン カントリーマネージャーのティニス・スキパース氏は、そういったコネクテッドデバイスの核となる技術として、Alexaは4つの領域で活用できるとのこと。それが、音楽などを再生するエンターテインメント、天気の確認やタイマーといった日常タスク、そしてコミュニケーションとスマートホームだ。

Amazon Alexa インターナショナル、ジャパン カントリーマネージャー ティニス・スキパース氏

またAlexaでは、“テクノロジーは必要なときはユーザーのために働くが、必要ではないときは背景に溶け込む” という、「アンビエントインテリジェンス」というコンセプトで設計しているとスキパース氏は説明。そのための機能のひとつとして、たとえば「Alexa おやすみ」と言うだけでライトを暗くして音楽を再生するなどのアクションが可能な「定型アクション」機能もアピールされた。

Matterについては、2022年冬から電球とスマートプラグへの対応を皮切りにサポートを開始し、2023年春にはセンサー製品に拡大。さらに今夏にはハブ製品への対応が予定されている。Matterとは上述の通り、スマートホームデバイス、音声アシスタント、スマートホームシステムの相互接続をめざし開発された接続規格。策定を行うConnectivity Standards Alliance(CSA)には、Amazonをはじめ、アップルやGoogleなどもメンバーとなっている。

つまりMatterによって、異なるメーカーやプラットフォームのスマートホーム製品を相互に接続できるようになる。さらにAlexaでは追加機能として、「Matter Simple Setup(MSS)」「コミッショナブルエンドポイント」「Ambient Home Dev Kit」の3つを追加。これらによって、ユーザーにはより簡単に使うための仕組み、開発者にはより開発しやすい環境の提供を目指している。

一つずつ掘り下げていくと、Matter Simple Setupは、従来のフラストレーションフリーセットアップ(FSS)をMatterにも対応させるもの。これまでもユーザーは、すでに登録されたWi-Fi情報があれば、Amazonで2台目以降のスマートホームデバイスを購入した際には情報が埋めこまれて発送されるため、簡単にセットアップが行えた。これがMatterでも使えるようなったという。

Matter Simple Setupで発送時にアカウントとデバイスを紐づけ

続いてコミッショナブルエンドポイントとは、サードパーティーのデバイスであっても、通常のクラウドを経由せず、Echoデバイスからローカルでコントロールが行えるという機能。Matterに関して説明を行ったアマゾンジャパン合同会社 Amazon Alexa インターナショナル技術本部 本部長の福与直也氏によると、「クラウドに行かないのでその分レイテンシが低い」「クラウドに問題が生じてもローカルで動かせる」というメリットがあると説明。もちろんデバイスとEchoはAlexaスキルで連携されているため、スキルを使用したクラウド経由でのデバイス操作も引き続き行える。

アマゾンジャパン合同会社 Amazon Alexa インターナショナル技術本部 本部長 福与直也氏

最後のAmbient Home Dev Kitは、Matterを開発するためのキットで、昨年に発表されたものだ。これまでどう使われてきたかという、クラウドに上がってくる情報も見られるという。提供は年内中を目指しており、Alexaとサードパーティーアプリ間でグループ情報を同期するAPIなども実装予定とのこと。

そのほか説明会では、赤外線で家電を操作できるスマートホームデバイス「Nature Remo」シリーズで知られる、Nature株式会社 代表取締役社長の潮出晴海氏も登壇。数時間前に発表したばかりの新製品「Nature Remo nano」を紹介し、日本企業初のMatter製品かつ世界初のMatterとIRのブリッジデバイスだとアピールした。なお、Nature Remo nanoが上記MSSに対応するのは、2023年夏の予定だとしている。

Nature株式会社 代表取締役社長 潮出晴海氏が「Nature Remo nano」を紹介
「Nature Remo nano」

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