ようやくアクティビジョンも任天堂ハードを視野に入れる?
Nintendo Switch後継機、性能はPS4くらいか。FTC対マイクロソフト裁判で証言
米FTC(連邦取引委員会)がマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収計画を差し止めるための訴訟が進行中である。そこではマイクロソフトがゲーム市場の独占を狙っていること、逆にその意図はないことを裏付けるため、本来は社外秘のはずの内部文書が提出され、語られるはずがない内情が生々しく証言されている。
例えばマイクロソフトがセガやBungine(現在はソニー傘下)の買収を検討していたことや、超大作『The Elder Scrolls 6』の開発が難航していること、ソニーが『Horizon Forbidden West』の開発に2億ドル以上を注ぎ込んでいたなど、裁判とは直接関係のないことが明るみとなった。
そうした流れのなか、任天堂の次世代ゲーム機(Nintendo Switch後継機)がPS4やXbox Oneと近い性能を持つ可能性が、関係者の口から語られている。
マイクロソフトはアクティビジョン買収後も有力タイトルをXbox独占としないことを証明する一環として、任天堂に超人気IP「Call of Duty」シリーズを10年提供し続けると約束している。
だが、アクティビジョンは任天堂ハード向けに9年間、1本もCoDの新作を発売してこなかった。その理由はおそらく任天堂ハードと他社ハードの間に大きな性能の格差があるためで、英規制当局もネイティブ(実機)動作は無理でクラウドゲーミング(サーバー上での動作)以外に選択肢はないと疑問を投げかけていた。
今回の裁判では、アクティビジョンのボビー・コティックCEOと任天堂の古川俊太郎社長との間で交わされた、Switch後継モデルにゲームを出す可能性についての電子メールが公開された。そのなかでコティック氏は、Switch後継機がPS4やXbox Oneと近い性能を持つことを示唆している。
その発言は「第8世代プラットフォームに近い性能(alignment)と、我々がPS4とXbox Oneに提供してきたものを考えると、次世代Switchでも魅力的なものを作れると考えるのが妥当だろう」というものだ。
ここでいう第8世代プラットフォームとは、2010年代前半に発売されたゲーム専用機のことだろう。第7世代がPS3やXbox 360、第9世代がPS5やXbox Series X|Sを指している。こうしたコティック氏の発言は「Switchや前モデルWii Uを第8世代未満と見なしていた」とも受け取れるし、それは長年にわたり任天堂ハード向けにCoDを提供しなかった事実とも符合している。
実際コティック氏は、法廷での証言でSwitchにCoDシリーズを投入しなかったことを「判断を誤った」と語っている。「おそらく、史上2番目に成功したビデオゲーム機だろう」と深く後悔を述べていたという。
とはいえ、Switch後継モデル向けCoDに関しては「(後継モデルの)スペックが決まれば検討したいが、現時点では決まっていない。前世代のSwitchではチャンスを逃したが、仕様が決まるまで待たなければならないだろう」とも述べている。つまり、古川社長から後継モデルの詳細を知らされたわけではないようだ。
ちなみに現行SwitchのGPU性能は0.5TFLOPS、Xbox Oneは1.3TFLOPS、PS4は1.84TFLOPSと見積もられている。Switch後継モデルが「第8世代相当」が本当だとすれば数倍の改善には違いないが、それでもPS5(10.28TFLOPS)やXbox Series X|S(それぞれ12.15/4TFLOPS)には大きく後れを取っている。
現行モデルから「据え置きとモバイルの両立」を引き継ぐなら、処理性能が控えめになるのもやむを得ないが(携帯ゲーミングPCは、たいてい「バッテリー持ち2時間、持ち歩ける“だけ”」になっている)、さらなる続報を待ちたいところだ。
- Source: NintendoWorldReport The Verge