日本では使えなさそう

ロボット犬が火炎放射器背負ってやってきた。「Thermonator」発売へ

Image:Throwflame

古代エジプトの時代から、人は犬をペットとして飼い慣らしてきた。そしてその高い知能を活かして猟犬や牧羊犬、警察犬など人の役に立つ存在として活用もしてきた。

一方、現代では犬型のロボットが開発・市販され、犬の代わりに人の役に立つ場面も出てきた。たとえばソニーのAIBOは愛玩犬として、住宅事情などからペットを飼えない人に飼い犬とのコミュニケーションの場を(擬似的にではあるものの)与え、高齢者のみまもりや認知症予防といった学術的な活用方法にも可能性を示した。

最近ではBoston DynamicsのSpotなどが、イメージセンサーやLiDARなど高度な環境認識能力を備えて自律歩行が可能になり、警備用や産業、建設の現場での活用事例がある。

そして、犬型ロボットには生身の犬にはできないことがある。それはオプション・アタッチメントを装着できる拡張性だ。

米国の火炎放射器メーカーThrowflameは最近、世界初とうたう火炎放射器搭載の犬型ロボット「Thermonator」を発表し、間もなく予約受付を開始するとしている。Spotに似たロボット犬にThrowflameの火炎放射器を背負わせており、前方9mの範囲に炎を最長45分間も放つ能力を持つ。もちろん、火炎放射器部分も遠隔で操作可能。同社のウェブサイトには「shoot flames anywhere you want ! (どこでも自由に炎を放て!)」と、景気の良い言葉が踊っている。

外観から推測するに、この犬型ロボット本体は中国Unitreeの「Go1」を使用しているようだ。Go1は、イメージセンサーをはじめ各種センサー類を搭載し、類似のロボット犬の中でも比較的高い性能を備えている。そしてもちろん、Spotよりも安価だ。

Image:Throwflame

ところで、なぜ米国ではこのような過激な製品が発売されるのだろうか。ThrowflameはThermonatorの用途として、害虫駆除や除雪、氷の除去、映画のシーンで炎を安全に投げるための道具としての利用を紹介している。ただ、そのためにわざわざガソリンと軽油の混合燃料を使用する火炎放射器を背負ったロボット犬が必要かどうかは、米国人の感覚にならないとわからないかもしれない。

一応、記しておくと、Thermonatorの出荷は2023年の第3四半期が予定されている。まだ価格などは発表されていないが、Go1の価格と火炎放射器の価格を足したぐらいになるだろう。

ちなみに、米国では火炎放射器の販売は合法(州による)だが、日本国内では、火炎放射器はどう使っても必要以上の炎を放つものであることから、それを使用すると「火気乱用」として軽犯罪法が適用される可能性がある。2018年には、公園で自作の火炎放射器を使用し、その動画を公開していた男性が逮捕された事例がある。

関連キーワード: