現地の人々は自動運転がお嫌いなご様子
Waymoの自動運転テストカー、歩行者に襲撃されるも直ちに容疑者逮捕
Google(Alphabet)の自動運転開発子会社Waymoのテストカーが、突然現れた何者かに襲われ、搭乗していたオペレーターが負傷する事件が発生した。
事件は現地時間7月5日の午前3時頃、米アリゾナ州テンピの路上で発生した。走行中のテストカーの前に突然、歩行者が飛び出したため、オペレーターが車両を急停止させたところ、歩行者はボンネットに飛び乗りフロントガラスを破壊、オペレーターが負傷したとのこと。
幸い、通報により駆けつけた警察は直ちに容疑者を逮捕し、オペレーターの怪我も深刻なものではなかった。Waymoの広報担当は、事件に関し地元警察と協力していると述べている。
Waymoは現在、アリゾナ州のテンピやフェニックスを含むいくつかの都市で、一部に完全無人運転車も含む自動運転商用配車サービスを提供している。
アリゾナ州ではこの事件だけでなく、自動運転車に対する市民からの襲撃が相次いでいるようだ。地元ニュースサイトazcentralは、2018年に少なくとも20件もの自動運転車へのなんらかの攻撃やヘイト行為があったと報じている。
それはたとえば、銃など何らかの凶器をオペレーターに示して脅したり、進行方向に立ちはだかるといった具合。なかには自動運転車にあおり運転を繰り返し、併走して樹脂製のパイプのようなもので攻撃しようとした者もいたとされる。
どうやらこうした行為は、2017年にテンピで発生した、Uberの自動運転車が歩行者を跳ねて死亡させてしまった事故が住民の心理に影響しているようだ。Waymoのオペレーターに対してピストルを見せて脅し、逮捕されたある男性は、警察に対しUberの事件を引き合いに出したという。事件は当時自動運転を開発していたUberが起こしたものであり、Waymoからすればとばっちりでしかない。
azcentralはほかにも、「中産階級の住民の間では、自動運転技術をはじめとするテクノロジーの進歩に職を奪われるのではないか、という漠然とした心配がある」と指摘する、アリゾナ州立大学の専門家の見解を報じていた。
なおWaymoは、今回の事件にもかかわらず「大半の自動運転テストカーは日々平穏に何千マイルもの走行を重ねており、攻撃されるようなことはほとんど起きていない」としている。
ちなみに、今回被害に遭ったテストカーのベース車両「I-Pace」は、ジャガー初の市販BEVで、日本国内での新車価格が約1,000万円からという高額なものだ。
- Source: New York Times
- via: The Verge
- Coverage: azcentral