ゲーム専用機でもロット違いで性能差がある場合もあり

iPhone 15 Pro、チップの製造時期で性能が違う可能性

Image:Hadrian/Shutterstock.com

これまでiPhoneの同一機種であれば、生産時期が違っても性能に差が生じることはなかった。だが、次期「iPhone 15 Pro」モデルに搭載される「A17 Bionic」チップは、2024年に製造されたロットは2023年内よりも性能が落ちる可能性が浮上している。

このA17 Bionicは台湾TSMCの3nmプロセス、通称「N3B」技術により製造される世界初の3nmチップと予想されている。それにより性能の向上や消費電力の削減が期待されるものの、製造コストの上昇も避けがたいはず。実際、アップルはTSMCの値上げ要求を受け入れたとの報道もあり、それがiPhone 15 Proモデルの値上げを招くとみられている。

アップルがTSMCの要求を飲んだのは、インテルやクアルコムなど他社との競争に打ち勝ちたい、という意向があるのだろう。その甲斐あってか、同社は2023年内の3nm製造ライン90%を独占したと報じられていた

その一方で、アップルほかハイテク各社は部品コストを削り、利益率を上げることに注力するものだ。それを裏付けるような噂話を、中国のリーカーが発信している。

リーカーの手机晶片达人(モバイルチップマスター)氏は、中国SNSのWeiboで「Phone 15 proとiPhone 15 pro maxは、A17にN3Bプロセスを採用しているが、来年のある時点で低価格のN3Eプロセスに切り替わり、おそらく性能は落ちると思われる」(型番は原文ママ)と述べている。

ちなみに手机晶片达人氏は、iPhone 14シリーズでProモデルのみA16 Bionicが搭載されることをいち早く予想していた人物だ。的中率は100%ではないものの、アップルの未発表製品につき少なからず信ぴょう性はある。

さて、上記のN3EはクアルコムやMediaTekが来年採用すると噂される製造ノードと同じものだ。N3Eは「改良型」と謳われているが、N3Bのコスト削減バージョンになるとの説もある。当初はN3Bの性能向上版と位置づけられていたものの、後に確実に生産できる方向に転換されたというわけだ。

だが、今のところTSMCの公称ではN3B(N3)はN5(5nmプロセス)に対して10~15%の性能向上、N3Eは+18%とされており、N3Eの方がより改善されているはずだ。

半導体の最先端を走るTSMCにとっても、3nmプロセスはこなれた技術ではなく、今なお試行錯誤を繰り返しているのかもしれない。いずれにせよ、iPhoneに搭載されたAシリーズチップはスマホ用SoCとして最速であり続けており、A17 Bionicがその延長上にあることは疑いない。今後の、さらなる続報を待ちたいところだ。

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