マイクロソフトとGoogleのブラウザ戦争はエスカレート

Microsoft Edge、「Chrome」と検索するとBingの全画面広告をなぜか表示

Image:Koshiro K/Shutterstock.com

マイクロソフトとGoogleの確執は長年にわたり続いており、前者がChromiumベースのEdgeを投入して以来、さらにChromeとEdgeのブラウザ戦争として激化している。

たとえばGoogle側は、Edgeから自社サイトにアクセスするとChromeの広告を露骨に表示する。かたやマイクロソフト側は、Windowsの標準ブラウザをEdgeにするようユーザーに強制しようとしたことがあり、現在でもEdgeからChromeをダウンロードしようとするとEdgeを使うように促すメッセージを表示する、といった具合である。

検索結果画面のスクリーンショット

しかし、最近はマイクロソフトがやり過ぎているようだ。Edgeの検索バーにChromeと入力すると、検索結果ではなく、Bing AIチャットボットの全面広告が表示されたと報告されている。

The Vergeの記者がEdgeでChromeを検索したところ、なぜか頼みもしない「Bing機能についての最新記事」の検索が始まり、表示されたのはBingが単なる検索エンジンではなくチャットボットであり……という機能の紹介だった。つまり、本来なら検索結果があるべき場所で、Bingの全画面広告を押しつけられたというわけだ。

Image:The Verge

ここで注目すべきは、実際にはBingチャットボットが動いていないということだ。この記者は何回か試してみたが、毎回同じテキストが表示された。チャットボットが同じ回答を二度出すことはないので、人為的なフェイクということだ。

しかも別のPCで試したり、複数の国にまたがって検証したところ、同じ結果が確認された例があるという。全ての地域ではないが、かといって一部地域の限られたテストでもないわけだ。

この件につきマイクロソフトの広報担当者は「我々は顧客の体験をテストし、学び、改善するために、新たな機能やUX(ユーザーインターフェース)、動作をテストすることがよくある。これらのテストはしばしば短期間であり、必ずしも最終的または広く顧客に提供されることを示すものではない」とコメントしている。また、記事が掲載された直後に、この「体験」をオフにしたそうだ。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、BingとAIチャットボットの統合がChromeから市場シェアを奪うための試みではないかとの質問に対して、「まずユーザーのニーズに応える、市場で競争力のある製品を作りたい」と答えていた。その言葉通り、何よりも顧客が望むことを最優先する競争を望みたいところだ。

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