ちなみにこの画像は、アポロ16号の船外活動用照明が映り込んだものです

NASAの「UFO研究グループ」、オンライン公開会議を6月1日に実施

Image:NASA

NASAが、2022年6月に設置した「未確認空中現象(UAP)に関する独立した研究グループ」の会議を6月1日午前0時30分(現地時間:5月31日午前10時30分)より、4時間にわたって配信する。UAPとは従来、未確認飛行物体(UFO)として知られていた現象を指す言葉だ。

NASAはUAPに関連する情報を調査し、その科学的理解を進めるために、このグループを設立した。グループは元宇宙飛行士のスコット・ケリー氏をはじめ、学術界、航空宇宙業界、科学ジャーナリストといった専門家ら16人で構成されている。

「独立した研究グループ」であるため、UFO/UAPに関する情報についても、機密扱いのデータは研究分析の対象としていない。NASAで科学担当副長官だったトーマス・ズルブチェン氏は、このグループの設立について当時、「比較的情報が少ない分野の情報を蓄積し、科学的調査や分析に値する分野にしていく」ことで「UAPの科学的理解を押し進める」と述べていた。

したがって今回の会議は、おそらく我々がUFOという言葉から連想する宇宙人や異星文明といった話はあまり出てくることはなく、謎の空中現象を科学的、現実的な視点から分析・研究した結果を報告するような内容になりそうだ。北米では今年、2020年に宮城県上空に現れたものにもよく似た、謎の白い気球状の飛行物体が複数確認され、いくつかは撃墜されている。この飛行物体について米国政府は、中国から飛来したスパイ気球だとの見解を示していた。

このような事例を考えると、これまで大量に報告事例があるものの、さほど詳しく調査もされていないUFO/UAPのなかにも、他国からの飛来物だったものがあるかもしれない。そしてそれを放置しておくと、国の安全保障上の脅威を見逃してしまう可能性もある。

近年、米国政府はいくつかの分野でUAPを研究し理解を深めるための支援を行っている。米国防総省は昨年、宇宙空間、大気中、水中の未確認物体であったり、それら複数の空間を移動するように見える物体の研究を行う部門となるAll-Domain Anomaly Resolution Office(AARO)を設立した。

今年4月、AAROを率いるショーン・M・カークパトリック氏は、上院軍事委員会で「地球外活動、地球外の技術、既知の物理法則を無視する物体に関する信頼できる証拠は今のところ見つかっていない」と発言していた。

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