AIデジタル執事が必需品になる時代が来る?

ビル・ゲイツ、AIがGoogle検索とAmazonの脅威になる可能性を指摘

Image:lev radin/Shutterstock.com

マイクロソフト共同創業者で大富豪のビル・ゲイツ氏は、ゴールドマン・サックスなどが開催した人工知能に関するイベントで、今後、高度なAIアシスタントを開発した企業が現在IT巨人と呼ばれている企業にとって脅威になり得るとの考えを示した。

ゲイツ氏いわく、将来のAI開発企業は、人々のために様々なタスクをこなすAIアシスタントを、さらに高度化したデジタルパーソナルエージェントとでも言うべきものを作る可能性が高いとのことだ。それはユーザーの生活や行動を根本的に変え、人々のニーズや習慣を理解し、たとえば「読む時間が無いものを読む」のを助けることができると言う。ゲイツ氏は「人々は検索サイトを利用する必要がなくなり、欲しい商品を探すためにアマゾンのサイトを見ることもなくなるだろう」と説明した。

そのような将来のAIエージェントを作り出すのは既存のハイテク大手企業か、それとも新興のベンチャー企業が世に送り出すのかとの問いに対して、ゲイツ氏はどちらになるかは五分五分だと答えた。また「もしそこにマイクロソフトが一枚噛んでいなければ、私は落胆してしまうだろう」と述べつつ、DeepMind共同創業者ムスタファ・スレイマン氏が新たに設立したInflection.AIなどにも注目していることを明かした。

ただし、そのような将来のAIエージェントが普及するには、まだしばらく時間が必要であり、それまではChatGPTなどのジェネレーティブAI技術を組み込んだ製品が市場を賑わすだろうとゲイツ氏は述べている。

それ以外の分野におけるAIの可能性については、自身が推進しているビル&メリンダ・ゲイツ財団の活動にも関連する、ヘルスケア分野でのイノベーションを加速し、これまで以上に高度な医薬品開発に役立つとの考えを示した。たとえば人の脳の内部構造はまだ不明な点が多い。しかし人類はアルツハイマー病などの治療に役立つ薬の実現に向けて歩を進めており、新薬の臨床試験も10年以内に始まる可能性が高いとした。

ほかには、文書作成や事務処理が主な仕事になるホワイトカラー、つまり事務職の業務分野でも、ジェネレーティブAIが台頭してくるとの見立てを示し、さらに将来実用レベルに至るであろう人型ロボットが、単調な仕事をこなすブルーカラーの労働者にも大きな影響を与えることになるとも予測している。

ゲイツ氏は最後に「そのようなロボットが発明された暁には、それを利用する人々がアルツハイマーにならないようにしないとね」とジョークを飛ばしたが、人型ロボットに職業の選択肢を狭められるかもしれないこれからの世代には、あまり笑えない話かもしれない。

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