沈没した原因の研究が深まりそう
タイタニック号、“深海に沈没した姿”が3D化。71万枚以上の写真から作成
豪華客船タイタニック号は1912年4月、処女航海中に氷山に衝突し、乗客・乗員1,500人以上が死亡した。いまも北大西洋の海底に眠っているが、新たに数十万もの写真を元に3Dデジタルモデルが作成され、現在の沈没した姿の全ぼうを捉えることに成功した。
英BBC報道によると、深海マッピング企業Magellan Ltdは2022年夏、英テレビ番組制作会社Atlantic Productionsと共同でフィールドワークを実施したとのこと。調査専門船から潜水艇を遠隔操作して200時間以上もかけ(調査期間は6週間)、水面下約3,800mにある沈没現場の写真71万5000枚以上を撮影。これらの画像をつなぎ合わせて、タイタニック号の3Dデジタルレプリカを作成したという。
沈没後のタイタニック号は1985年に発見されているが、船体が真っ二つに引き裂かれ、船首と船尾が約800mも離れている。壊れた船の周りには巨大な瓦礫が広がっていることもあり、深海の暗がりの中では全体像を映し出すことができなかった。
タイタニック号のスキャンからは、16TBものデータと沈没船の4K映像が得られたという。そこから数ヶ月にわたる処理とレンダリングにより、最終的な3Dモデルが完成し、その動画と静止画がAtlanticとMagellanによって公開された。
この3Dモデルではプロペラのシリアルナンバーなど細部のディティールや、周囲の瓦礫にある船の装飾品や彫像、未開封のシャンパンボトルや乗客の靴までも確認できる。約100年の歳月を経た船首は鍾乳石で覆われつつも一目でそれと分かり、ぽっかりと空いた穴から大階段があった場所も垣間見える。
タイタニック号を長年研究してきたパークス・スティーブンスン氏は、この3Dモデルを初めて見たとき「圧倒された」と語っている。潜水艇から決して見ることのできない全体像や、様々な文脈および視点から見られると指摘。さらに、この画像を研究することで1912年の運命の夜にタイタニック号に何が起こったのか、新たな知見を得られるという。
まだ氷山との衝突がどのようなものだったか本当に理解できておらず、映画で描かれているように右舷側に衝突したのかも分からないとのこと。レオナルド・ディカプリオが演じた主人公が生き延びられる可能性があったかどうかをめぐる議論も未だに続いているが、この3Dモデルから映画のリブート版が作られることもありえそうだ。
- Source: BBC