コロナ誤情報の拡散に抗議していた

CS&NがSpotifyに復帰。一方ニール・ヤングは帰らず

Image:Rokas Tenys/Shutterstock.com

悪名高きジョー・ローガンのポッドキャストをホストするSpotifyへの抗議として楽曲をすべて引き揚げたニール・ヤングに賛同し、自らも楽曲を削除したフォークロックグループ、クロスビー・スティルス&ナッシュ(CS&N)が、約5か月を経てSpotifyに戻ってきた。

ただし今回の復帰で、新型コロナウイルスに関する誤情報などを拡散していると批判された、ジョー・ローガンのポッドキャスト問題が根本的に解決したわけではなさそうだ。

デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュの3人が1968年に結成したCS&Nは、その長いキャリアのなか、幾度かニール・ヤングも加えたCSN&Y編成として活動してきた。そして、その盟友であるニール・ヤングが今年1月にSporifyに対してとった抗議行動には、このCS&Nや、CS&Nの結成のきっかけとなる場面に居合わせたとされる、やはりレジェンドミュージシャンのジョニ・ミッチェルが加わり、それぞれがニール・ヤングに倣ってSpotifyから楽曲を引き揚げていた。

また、いくつかのポッドキャスト配信者も、新型コロナウイルスに関する誤情報を検証する内容を取り扱うようになった。

ベテランミュージシャンらの抗議行動は、ローガン本人ではなく、有害なコンテンツを広めているSpotifyに向けられたものだった。しかしSpotify CEOのダニエル・エクには、大金を投じて独占契約したローガンとの関係を見直す気はなく、実際、ローガンのポッドキャスト人気もビクともしなかった。

とはいえSpotifyは、新型コロナウイルスについて議論するポッドキャストについて、その内容を確認しラベル付けをすると声明を発表した。またローガンは、インスタグラムに投稿した10分間の動画で、自身のポッドキャストが誤情報を広めようとしているわけではなく、ワクチン懐疑論者側の「意見を聞くために」ロバート・マローン博士などを招いたが、結果としてそのエピソードが危険というレッテルを貼られることになったと釈明している。そして「より議論される視点と、それとはまた別の視点のバランスを取るために努力し、皆がより良い考えを得られるようにしたい」と述べていた。

今回のCS&YのSpotifyへの抗議と復帰は、ローガンのポッドキャストを削除させるという目的こそ実を結ばなかったものの、まったく効果がなかったわけでもないと言って良さそうだ。

ちなみに、ニール・ヤングはいまもSpotifyへ復帰しておらず(彼はSpotifyの音質にも不満を持っている)、The Vergeはそのため、CSN&Yの名盤『Déjà Vu』の楽曲が歯抜け状態だと指摘している。ただ、日本のSpotifyで確認したところでは、リマスター盤はThe Vergeの指摘とは異なる楽曲がグレーアウトしている一方、オリジナル盤は全曲聴取可能だ。

関連キーワード: