ヘビの剥製で実験しました

チンパンジーが話す「原始的な言語」の翻訳に成功との研究

Image:Oleg Senkov / Shutterstock

学術誌のNature Communicationsに掲載された新しい論文によると、チンパンジーが発する声のパターンのいくつかに“構文的な構造化”がみられることが研究でわかったという。これは言い換えれば、チンパンジーが使う原始的な言語の翻訳に成功した、ということだ。

研究は、チンパンジーには特定の意味をもつ特定の言葉や発音があり、ヘビのような危険な動物に遭遇した際に、いくつかのパターンの声を発して仲間に知らせるという話がきっかけとなって行われた。この逸話を検証するために、研究者は実際にチンパンジーに本物そっくりのヘビの模型を見せ、どのように反応するかを記録、分析したとのことだ。

そしてその結果、チンパンジーには驚きを意味する“alarm-huus”という音と、他のチンパンジーを呼び寄せる(つまり助けを求める)“waa-barks”があることがわかった。実験では、ヘビに遭遇した際に、この2つの発音を組み合わせて使用したと報告されている。

研究者らの観察によると、この2種類の発音は「構文のような構造」を持つという。

研究者らは実験で得たパターンについて、その構造を成す単語に相当する発音のそれぞれに意味があると考えた。またチンパンジーの発した音を聞いた後に、複数のチンパンジーが呼びかけを行ったチンパンジーのもとに集まることがわかり、音の組み合わせを確認した。そして、人工的に作ったいくつかの鳴き声や、それらの組み合わせを聞かせたときの反応をしらべて、鳴き声のパターンが持つ意味を分析したという。

今回の研究の結果から、研究者らは「構文構造はヒトの系統において新しく進化したのではなく」、「構文を促進する認知の構成要素は、チンパンジーとの最後の共通の祖先から存在していた可能性がある」と結論づけた。

言語は、さまざまな言葉や音を組み合わせて異なる事柄の意味を表現するものであるため、これまでは人類特有のものだと考えられてきた。しかし今回の研究によって、人が話す言葉の構文についてわかっていたことが覆されたり、人類の進化におけるとチンパンジーなどの動物の結びつきが、もっと強いものになる可能性があるかもしれない。

関連キーワード: