それ以前はケータイでメールチェックするのも遠慮されたそう

「初代iPhoneはアップルの社内文化を変えた」現幹部や元幹部が当時を振り返る

Image:cristo95/Shutterstock.com

先週、初代iPhoneが発売されてから15年が経過した。それを記念してThe Wall Street Journal記者がアップル元幹部と現幹部にインタビューを行い、初代iPhoneの発売やApp Storeの立ち上げ直後について話を聞いている。

今回の記事で最も興味深いのは、初代iPhoneがアップルの社内文化をどのように変えたか、ということだろう。

当時アップルの上級副社長だったトニー・ファデル氏(iPodの父としても知られる)は「常にメッセージを送り、何かをチェックできるようになり、アップルの社内文化は変わった」と述べている。「そのインパクトは微かに見えたが、iPhoneがアップルの外に出たときにどうなるかは分からなかった」とのことだ。

つまり、それ以前は社内で携帯電話を使ったり、メールをチェックすることも遠慮されたということだろう。ファデル氏は2008年にアップルを退社しているが(後にテクノロジー会社Nestを立ち上げ、Googleに売却)わずか1年で「会議中にスマートフォンで情報チェック」などの習慣が定着したとすれば、かなりの影響力といえそうだ。

そして初代iPhoneの発売から1年後、iPhone 3GとApp Storeが誕生した。同社のワールドワイドマーケティング担当上級副社長グレッグ・ジョスウィアック氏は、50本のアプリがあればいい感じにスタートが切れるだろう、と考えていたという。しかし実際の立ち上げ時には500本も公開され、2009年4月には1週間に2万5000ものアプリが承認申請されるようになったとのことだ。

そして、後にアップルの大きな収入源となり、今や規制当局からも監視されているアプリ内課金について興味深い話が語られている。アプリの審査プロセスを監督していたフィリップ・シューメイカー氏は、当時5歳だった娘がゲームアプリ「スマーフ・ビレッジ」に450ドルも使ってしまったそうだ。

娘さんはアプリを何週間にも渡って遊んでいたが、ある日シューメイカー氏のもとにクレジットカードの請求書が届き、アップルに450ドル以上も支払っていることが分かった。何のために?アプリ内の通貨であるスマーフベリーの代金だった。

これがアプリ内課金に関する顧客からの苦情と相まって、審査チームは子供向けアプリに特別な注意書きをする「マイリー・ルール」の制定に踏み切ったという。その結果、アプリ内で何かを購入する際にパスワードを要求するiOSのアップデートが行われたそうだ。

また、iPhone 4にて初めて前面カメラが追加されたときの話も面白い。アップルは成功するとは予想していなかったが、自撮りは爆発的に普及したのだった。その他、幹部らのスマートフォン競合他社に関する率直な(率直すぎる?)感想も述べられており、興味のある方は全文を読むことをお勧めする。

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