「貯金している」と錯覚してムダ遣いしやすい?

アップルの「年利4.15%」預金口座、開始4日で約10億ドル集まったとの報道

Image:Apple

アップルが高金利回りの預金口座「Apple Card Savings」を提供開始してから、約2週間が経過した。日本のゼロ金利から見れば破格の好条件だが、米国内では最初の4日間だけで10億ドル(約1370億円)近くの預金を集めたと米Forbesが報じている。

この問題に詳しい2人の情報筋によると、ローンチ初日だけで4億ドル近い預金が集まったという。その後3日間で、10億ドル近くまで膨れ上がったそうだ。

実際の口座数では、初週の終わりまでに24万以上の口座が開設されたという。つまり、1件当たりの平均残高は4000ドル強といったところだ。なお、この口座の最大残高は25万ドル、つまりFDIC(連邦預金保険公社)が保証する限度額である。

Apple Card SavingsがApple Cardユーザーしか利用できないことを考えると、わずか数日間で素晴らしい成果だと言えそうだ。3月にシルバーゲート銀行やシリコンバレー銀行、さらにシグネチャー銀行と3行が立て続けに経営破綻した直後のことであり、預金の待避先としてはタイミングが良かったのかもしれない。

それに加えてForbesは、年利4.15%という魅力的なリターン(業界平均は約0.4%)とiPhoneの普及が、口座開設の主な要因だと指摘している。また、口座自体は大手金融ゴールドマン・サックスとの提携で運営されているが、ゴールドマンの消費者向け事業マーカスが提供する高利回り貯蓄の3.9%よりも金利が高い。

なおアップルとゴールドマン・サックスは、これら口座数と預金額の数字についてコメントを拒否したという。とはいえ、ゴールドマンが決算を発表し、関連する規制書類を提出する際に、いずれ明らかになるだろう。

通常なら引き出しに1~5営業日かかるオンライ貯蓄口座に対して、Apple Card Savingsは送金アプリ「Apple Cash」で即座に引き出してすぐに使える。この便利さはメリットであると同時に、貯蓄よりもムダ遣いを招きやすいとの指摘もあった

普通の定期預金は「引き出しにくい」ことで浪費を防ぐ効果があるが、アップルとしては「貯金しているから」と錯覚させて財布のヒモを緩め、自社製品をさらに買わせる狙いもあるのかもしれない。

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