2031年退役予定
ロシア、ISSへの参加を2028年まで延長へ。他の参加国は2030年まで継続表明済み
ロシアの宇宙機関であるRoscosmosは、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始した2022年当時、すでに決まっていた2024年までの国際宇宙ステーション(ISS)への支援体制を継続するか否かに対して否定的な発言をしていた。しかしNASAは先週、ロシアがISSへの支援体制を2028年まで延長することを約束したとブログページで明らかにした。
これに先立ち、Roscosmosの前CEO ドミトリー・ロゴージン氏は、昨年12月インターファクス通信に対して、2021年にISSにドッキングしたモジュール「ナウカ」の寿命がまだ10年は残っているとし、2024年以降もNASAとの提携を続けたい考えを示していた。ちなみに欧州、カナダ、日本を含むISSの運用パートナー各国は、すでに2030年までの運用への参加を表明している。
ISSは1998年に運用を開始し、2000年11月から宇宙飛行士が常に滞在し続けている。そこでは各国が様々な実験を行い、また宇宙に関する情報を世界に発信してきた。
ただ、ISSの当初の設計寿命は2016年とされており、これまで数回の期間延長を経てきている。米国と並んでISSに大きな貢献をしてきたロシアは、設備の老朽化を考えると2030年以降の運用は困難だろうと指摘しており、耐用年数の過ぎた設備を使い続ければ、「取り返しのつかない」問題につながりかねないとしていた。
NASAも、2030年にISSの運用を終了し、大気圏に落下させて焼却処分する計画を検討している。しかしこの計画では、ISSを軌道から外して落下に導くための「タグボート」が必要になり、コスト的な問題が立ちはだかっている。
とりあえず、2028年まではロシアが残ると決めたことで、2030年までISSを維持するための方法を模索していた各国はロシアの代わりを用意する必要がなくなり、安心したことだろう。そしてNASAの2030年までのISS運用継続の達成も見えてきたかもしれない。
なお、ISSの後継としてはすでに民間の宇宙ステーション建造計画がいくつか立ち上がっている。また中国では独自の宇宙ステーション「天宮号」が2022年に完成したと伝えられている。一方、ロシア独自の宇宙ステーション建造は、資金や技術面での課題が指摘されていた。