これまでのアプリの失敗を認めた?

watchOS 10は初代以来「最大級のアップデート」との情報

Image:Gabo_Arts/Shutterstock.com

アップルは、米現地時間6月5日に開催する世界開発者会議WWDCにて、主要システムソフトウェアのメジャーアップデートを発表する見通しだ。このうち「watchOS 10」に関しては、ユーザーインターフェースの変更フォルダの採用など、様々な予想が伝えられてきた。

それらに続き、新たにiPhoneのようなウィジェットが導入され、初代以来の「最大級のソフトウェアアップデート」が行われるとの有力情報が伝えられている。

アップルの内部事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、watchOS 10でウィジェットがインターフェースの「中心的な存在」になると主張している。

こうしたウィジェット的な仕組みとしては、実は初代Apple Watchに「グランス」と呼ばれるものが存在していた。文字盤を上にスワイプすると対応アプリの情報が現れ、左右にスワイプすることで切り替えることができた。しかし対応アプリが限られる上に操作も限られ、結局はアプリを起動する必要があったためか、数年で廃止されていた。

新たなウィジェットシステムは、このグランスとiOS 14以降のウィジェットを組み合わせたものになるという。具体的には、watchOS 4で導入されたSiri文字盤を彷彿させながらも、あらゆる文字盤のオーバーレイとして登場する予定だという。またiOS/iPadOSのウィジェットスタック、つまり複数のウィジェットを一箇所に積み上げてローテーションできる機能にも似ているそうだ。

現在の計画ではアプリ本体を起動せず、アクティビティ追跡や天気、株価情報やカレンダーの予定など、様々なウィジェットをスクロールできるようにする予定とのことだ。

またアップル社内では、Apple Watchでのボタンの一部機能を変更するテストも行っているそうだ。現状ではデジタルクラウンを押すとホーム画面に移動するが、watchOS 10では代わりにウィジェットが呼び出されるのかもしれない。

この動きは、Apple Watchのアプリが登場から7年を経た今なお、ほとんど普及していないためだという。アップルがようやく、iPhoneのようなアプリ体験が「時計では必ずしも意味をなさない」ことを認めたというのだ。たとえばヨーロッパにおけるApple WatchのApp Store月間利用者数は、iPhoneの1億100万人に対して100万人未満という公式報告もあった

たしかにiPhoneの画面は広いためアイコンも見やすく、次にどのアプリを起動するか迷う楽しみもある。だがApple Watchの画面は狭くてホーム画面のアイコンも小さく、起動しても時間をかけて操作するより情報を確認したいだけの場合も多い。これをGurman氏は「腕時計はできるだけ多くの情報を、できるだけ少ない操作で知りたい場所」と表現している。

今年秋に登場とみられるApple Watch次期モデルは、ハードウェア的にはほとんど変更がないと予想されている。watchOS 10が初代以来の「最大級のソフトウェアアップデート」になるとすれば、そこから目をそらす意図が織り込まれているのかもしれない。

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