クラウドからAIへレーンチェンジ

Dropboxが500人を削減、代わりにAI部門に注力か

Image: Primakov / shutterstock

Dropboxのドリュー・ヒューストンCEOが、社内向けメッセージで全従業員の約16パーセントにあたる500人をレイオフする計画を明らかにした。その理由はパンデミック後の景気低迷が一因だとしつつも、この削減を経て、社内にAI部門を設立することが可能になると述べている。

ヒューストンCEOは、「理想的な世界では、単にあるチームから別のチームへ人を移動させるだけだ。そして、可能な限りそうしてきた」とする一方、Dropboxを「AI時代の最前線」に置くことを確実にするためには、今回の人員削減が「必要」なのだと述べている。

「われわれの次の成長ステージでは、特にAIの初期段階の製品開発において、様々なスキルセットの組み合わせが必要になる。ここ数年、この分野で優秀な人材を採用してきたが、さらに多くの人材が必要だろう」と説明。そして、「この変更は痛みを伴うが、我々の将来のために必要なことだ」「かつてモバイルとクラウドへのシフトの最前線にいたように、AI時代でもDropboxが最前線に確実にいられるように私は決意している」と社内に訴えている。

ヒューストンCEOは2018年に、共同創業者アラシュ・フェルドーシ氏との連名で記したメモで「“マシン・インテリジェンス” がいずれDropboxをより良く理解し、顧客サービスを提供できるようになる」と述べている。すでにDropboxは自動テキスト認識機能をはじめいくつかのAI活用機能を導入している。しかし、従業員の一部をAIに長けた人材に置き換えるために500人をレイオフするということは、それだけ会社としてAIシフトへのやる気を示しているとも言えそうだ。

なお、Dropboxは今回の人員削減にともない、コア事業とドキュメントワークフロー事業の統合、製品開発チームの調整も実行しているという。ヒューストンCEOは、現在のIT不況にあっても「利益をあげている」とし、Dropboxビジネスの「自然な成熟」の一部だとした。

今回の削減の影響をうける従業員は、最低16週間は給与が支給され、半年間の医療保険、さらに社内用デバイスの使用権が提供されるとのこと。また、転職のための支援策も提供される。

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