【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第36回

タッチ操作でも「まさにモンハン」。Niantic新作「モンハンNow」を先行体験した

西田宗千佳

モンハンNowは9月からスタート

カプコンとNianticは、新しい位置情報ゲーム「Monster Hunter Now」(以下、モンハンNow)を発表した。開発はNiantic・東京スタジオで、運営も同社が行う。

サービスの正式開始は9月。だが、4月25日よりクローズドベータテストが開始される予定で、すでにその申し込みは公式サイトから始まっている。

直近で始まるのは「クローズド」なテストなので、プレイ内容などが詳細に公開されるのはまだ先だ。しかし、先日行われた記者発表会では、短い時間ではあるものの、現状遊べるものが実際にプレイできた。今回はその内容についてお伝えしたい。

発表会には、Nianticのジョン・ハンケCEO(写真中央左)も来日
発表会ではプレス関係者がひと足さきにプレイ

ポケモンGOも使ったインフラを活用

Nianticが作る位置情報ゲームなので、遊び方の基本は「外に出て歩く」こと。使用するマップやアイテムなどが手に入る、「ウェイスポット」(ポケモン GOでは「ポケストップ」として利用)の情報も共有されている。そのためマップ画面には、「どこかで見た印象」がつきまとうかもしれない。ポケストップやジムの代わりにモンスターが見える感じだ。

モンハンNowのマップ画面 © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

一方で、マップの要素は結構違う。モンスターハンター(モンハン)シリーズでは、モンスターが出てくるエリアは「砂漠」「密林」などの属性で分かれており、小動物からモンスターに至るまで、エリアの属性に合わせて配置されていた。

モンハンNowにも「エリア属性」要素があり、マップの上に一定範囲のエリアが作られ、それぞれ属性が違う。ということは、そこに出るモンスターなども違う、ということだ。

今回は渋谷駅前でテストしたのだが、テストした時は「砂漠」だった。これが一定期間で変わるのか否かは不明だが、係員の説明を聞く限り、完全に固定ではないように思えた。

そしてこの「エリア」はそこまで広くないため、少し歩けば別の属性のエリアに行ける。そうして複数のエリアをまたいで移動しつつ「狩り」をする、というのがモンハンNowの基本プレイスタイルだ。さらにマップ上にはウェイスポットが「採掘」などのスポットとして現れ、ここに行ってタップするとアイテムや素材が手に入る。

マップ上では「採掘」もできる © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

モンハンの醍醐味は、集めたアイテム・素材を使って武器・防具を強化していくこと。その点はモンハンNowも同じだ。モンスターを倒してアイテムを得て、そこから武器を強化して、強いモンスターを倒していく。

モンスターは基本的にマップ上を歩いていて、タップすれば戦闘開始だ。モンスターの頭の上に星マークがあるが、これは強さの目安。同じモンスターでも、星2つと3つではかなり強さが違った。今回のテストプレイでは星2つは楽々倒せたものの、星3つは倒しきれなかった。そのあたりの悔しさが、まさに「モンハンそのもの」だ。

モンスターの強さは「星」でわかるようになっている © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

「部位破壊」も存在。タッチ操作でも「モンハンらしさ」

さて、モンハンのキモである「戦闘」はどうなっているのだろうか? ここは相当苦労し、工夫して作り上げた印象が強い。モンハンNowの開発には4年近くの時間がかかっており、Nianticのジョン・ハンケCEOも「モンハンらしさを追求するため、4年の間に何度も作り直した」と語っている。

実際プレイしてみると、「ああ、スマホの位置情報ゲームとモンハンのプレイ感を融合させるために、こんなに工夫したのか」と感じさせる要素が多数ある。

片手剣でのプレイ画像。まさに「モンハン」っぽい。© 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

前出のように、戦闘は「モンスターのタップ」からスタートし、画面はモンスターを中心に置いたものに変わる。操作にコントローラーは必要なく、画面のタップ・フリック・ホールドで行うため、通常は片手だけで十分といえる。

基本は「タップで攻撃」と「左右や下のフリックで回避」。フリックでモンスターに近づきタップして打撃を与えると、モンスターが攻撃してくるため、タイミングよく避けることになる。まさにモンハンの基本だ。

モンスターの攻撃前には体が赤く光り、それに合わせてフリックすることで避けられる。そこまで厳しくはないが、いい加減なタイミングでは避けられないようになっている。

プレイヤーの攻撃は武器種に合わせて変化する。片手剣ならタップ連打で連続攻撃だし、ライトボウガンなら、スマホを動かして狙いを定めてからタップしてモンスターに当てる。もちろん、弾が切れたらタップしてリロードが必要だ。また、大剣では長押しすると「溜め攻撃」が発生するため、モンスターの隙に合わせて叩き込むと大ダメージが見込める。

今回筆者は試せなかったが、「太刀」でのプレイも可能 © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

武器の攻撃を当て続けるとゲージが溜まり、「スペシャル攻撃」ボタンでモンスターに大打撃を与えられギミックも用意されている。だが、通常攻撃同様にしっかりとモンスターを狙わないと当たらないので、単に連打すればいい、というわけではない。

モンハンといえば「部位破壊」だろう。モンハンNowでも、尻尾や翼などの特定部位に一定のダメージを与えると部位破壊が発生し、モンスターに大きな隙が生まれる。溜め攻撃やスペシャル攻撃などのチャンスだ。これを繰り返してモンスターを討伐する。

もちろんモンハンNowは、家庭用ゲーム向けのモンハンと異なり、コントローラーを使った複雑な操作ではない。また、回り込みなどの位置取りもシンプル化されている。とはいうものの、感覚はまさに「モンハン」だ。

最大4人でマルチプレイ可能 © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

しかも、これを最大4人で協力して行える。近くに討伐を始めた人がいると「ひと狩りいこう」というボタンがマップに現れ、タップすると4人までの通信プレイが始まる。4人でモンスターを囲んで戦う様は、ソロプレイ以上にモンハン的である。

縦画面だけでなく横画面でも遊べる © 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

狩りは75秒以内で「移動中でも負担なく遊べる」

さらに、こうしたプレイを「スマホの位置ゲー」として無理なく遊べるような工夫があるのが、モンハンNowの特徴だ。

モンスター討伐は最大「75秒」で、この間に倒しきれないとモンスターが逃げてしまう。討伐プレイはかなり激しいため、立ち止まったり座ったりしてのプレイが望ましい。そこで負担がないよう、75秒という制限が設けられている。

モンハンでは、モンスターの位置を知るアイテムだった「ペイントボール」も、少し役割が変わっている。自分が移動中にモンスターを見つけた場合、ペイントボールをぶつけておくと、「後で好きな時にそのモンスターと戦える」のだ。

© 2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music © CAPCOM CO., LTD.

移動中にモンスターと戦いまくる、というプレイスタイルを常に続けるのは現実的ではない。そのため、移動中はモンスターを「見つける」だけにしておき、学校や会社についてから、もしくは帰宅後などにまとめてじっくり戦えるようになっている。

さらに、自分のパートナーである「オトモアイルー」が、ゲームを自分が起動していない間、裏でアイテムを拾ったり、モンスターにペイントボールをぶつけたりしておいてくれる要素も実装するという。こちらも「移動中以外にも位置ゲーを遊ぶための要素」と言っていい。

こうした工夫を積み重ねることで、比較的ハードなアクションであるモンハンの手触りを再現しつつ、位置情報ゲームの「街を歩いて発見する」楽しみ、「友人だけでなく、知らない人ともプレイする」楽しみを実現しているわけだ。

色々と不明な要素はまだ多く、製品化時に向けて明かされていくのだろう。皆さんも9月を楽しみにお待ちいただきたい。

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