すこしずつ登場が近づいてきてる感

アップル、初のヘッドセットに向けて既存アプリの最適化に注力との報

Image: leungchopan / Shutterstock

WWDC 23では、仮想現実(VR)機能と少なくともいくつかの拡張現実(AR)機能を搭載するアップル初のヘッドセット製品が発表されると噂されている。アップルは現在、この複合現実(MR)ヘッドセットに対して、ゲームアプリやフィットネス/ワークアウトアプリ、ウェルネス体験、スポーツのライブ配信のためのアプリ開発に集中しているとの情報が新たに伝えられている。

まずゲームアプリに関して言えば、アップルはすでに月額制ゲームサービスApple Arcadeを展開している。またフィットネスやワークアウトについても、自社サービスとしてFitness+をiPhoneやiPadユーザー向けに提供中だ(日本では未提供)。

一方、スポーツに関しても、Apple TV+を通じて金曜夜にMLBを中継したり、Apple TVアプリケーションでMLS(メジャーリーグサッカー)Season Passを提供している。

こうした状況を踏まえて、アップルのヘッドセット製品に関する新たな情報を、BloombergのMark Gurman氏が伝えている。Gurman氏は、アップルの内部情報に通じた人物からの情報と前置きしつつ、現在アップルが注力するのは、その大部分がVRとARを融合させた新しいヘッドセットに向け、iPadアプリを最適化することだと述べている。

具体的には、アプリ上でiPadがの初期インストールアプリ群へのヘッドセットの機能統合はもとより、サードパーティ製の無数の既存iPadアプリを、ヘッドセットのMR機能に対応させていくことが計画されているという。これには、iPadOS 16の新機能として投入されたホワイトボードアプリ『Freeform』(日本での名称は「フリーボード」)も含まれる。

ヘッドセットに最適化したApple純正アプリは一度に複数が実行でき、ユーザーが部屋を移動すれば使うアプリも勝手に切り替えられるような、ジオロケーション機能も導入されるかもしれない。

またFitness+アプリでは、VR環境でFitness+インストラクターを相手にエクササイズができるようだ。Healthアプリでも、映像やサウンド、ボイスオーバーで瞑想をガイドしたりといったことが考えられる。

さらにFaceTimeではミー文字のようなアバターを使った仮想会議室で会議やディスカッションができ、BookアプリはVR空間での読書体験を提供し、カメラアプリではヘッドセットに搭載されるカメラでのスナップショット撮影ができる模様だ。また、サードパーティについては現在、いくつかの選ばれたアプリ開発者を対象に、AR/VR対応のための情報を提供して既存アプリのMRコンテンツ化を支援しているとされる。

ただ、現在うわさされているヘッドセット製品は、われわれ一般ユーザーにはなかなか簡単には手を出しにくい価格帯(約3000ドル、約40万円)になると予想されている。もっとも、アップルもこれが最初から爆発的に売れるとは考えず、まずは高額であっても発売して、それがどのようなものか、どんなことができるかを、潜在的な購入希望者に知ってもらうことを目標としているのかもしれない。

そして、人々がこの種の製品を欲しいと考えるようになれば、2025年ごろの発売が予想される“より懐に優しい” 価格帯の新型ヘッドセットで、広く一般に普及していくことも視野に入って来ると考えられる。

アップルが開発中のヘッドセット製品は「Reality Pro」と仮称されており、正式発表が期待されるWWDC 23のキーノートは6月5日に行われる。予想されるハードウェア的な機能については、これまでの記事もご参考にされたい。

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