積荷の人工衛星は無事に軌道に展開

Rocket Lab、落下するブースターをヘリで空中キャッチ!だが直後に「異常な負荷」感じリリース

Image: Rocket Lab

5月2日、宇宙ロケット企業のRocket Labが、Electronロケットの打ち上げで役目を終え、落下してきたブースター部分のヘリコプターによる空中回収を実施した。

ヘリコプターの映像で見る限りでは回収に成功したかに思えたが、ヘリのパイロットはブースターをキャッチした後「異常な負荷特性」を感じたと報告し、急遽ブースターをリリースして海上に落下させた。

Rocket Labは海上にも回収船を出していたため、着水したブースターはすぐに船によって発見され「良好な状態」であることを確認されている。今後工場へ戻され、詳しく調べられる予定だ。

なお、Electronロケット本体のほうは、このミッションの最も重要な目的である小型衛星34個の地球低軌道への展開を無事に完了している。

近年、宇宙ロケットはその運用コストを抑えるため、その一部をリサイクル利用できる設計を採用するものが増えている。よく知られているのはSpaceXのFalcon 9で、このロケットの1段目ブースターは、ペイロードとロケット本体を宇宙へ押し上げる役目を終えたのち切り離され、ハエ叩きの先のような形状のフィンを使って自律的に姿勢を制御しつつ予定の場所へと降下し、地上の着陸パッドもしくは海上の回収船の上に軟着陸する。Amazon共同創業者ジェフ・ベゾスの宇宙企業Blue OriginのNew Shepardロケットも、同様の機能を持っている。

一方、Rocket LabのElectronロケットは、やはりブースターの再利用によるコスト低減を想定しているが、そのアプローチは大きく異なる。

このブースターは高度約13.4kmまで落下してきたところでドローグシュート~パラシュートを順次展開する。そして、降下速度を充分に遅くしたうえで、そこへ待機していたヘリコプターが向かい、フックの付いたロープでパラシュートのロープを引っかけてキャッチする。キャッチ後はそのまま陸地まで空輸することが可能なため、素早く再生作業に入ることができる。またブースターに軟着陸用の燃料や余分な制御機構を積む必要がないのも、SpaceXやBlue Originに比べたときのコスト的な利点となる。

Rocket Labはこれまでに数回、海上に落下したブースターを回収して大気圏再突入時の影響と改善点を探り、さらにダミーのブースターを上空からパラシュート降下させて、ヘリで回収する模擬試験も実施してきた。

今回行われたのは、実際に人工衛星の打ち上げに使われたブースターを初めて空中回収する試みだった。そしてわずかな時間とはいえ、シコルスキーS-92ヘリコプターは予定どおりフックでロケットを引っかけることには成功した。

Rocket Labは「今後数週間は、この打ち上げからのすべてのデータを処理して、将来の空中回収ミッションを改善する予定」とTwitterで述べている

関連キーワード: