レンズ薄型化のほかにも問題山積みのはず
アップルARメガネ、意外に早く登場との主張。新技術メタレンズがカギ
アップルはAR/VRハードウェアの開発に注力しており、その1つであるヘッドセットは6月のWWDCで発表、年内に発売されるとみられている。が、もう1つのメガネ型ARデバイス、通称「Apple Glasses」(アップルメガネ)は小型化やバッテリー持続時間に難があることから、実現するのはかなり先と予想されていた。
しかし、著名アナリストのKuo氏は、アップルが「メタレンズ」の量産技術に取り組んでおり、それが上手く行けば、早ければ2026年か2027年にアップルメガネが発売できると主張している。
ここでいうメタレンズとは、数千もの細かなナノ構造により光を収束させる平面レンズ技術のことだ。サイズが小さくて量産がしやすいためコスト効率も高く、従来の屈折型レンズよりも大幅に厚みを減らせるメリットがある。「紙よりも薄くできる」との説明もあった。
Kuo氏によると、このメタレンズはまず2024年に新型iPad Pro用のFace IDシステムに採用され、その後2025年か2026年にiPhoneに採用される見通しだという。こうした技術革新が計画通りに進めば、最終的にはアップルメガネにも採用されるとのことだ。
様々なメタレンズの用途があるなかで、メガネ型HMD(アップルメガネ)はキラーアプリケーション(広く普及させるための決め手)であり、それが成功すればメタレンズの出荷量も爆発的に伸びる可能性があるという。
さらにメタレンズが既存のカメラの「最下位」プラスチックレンズに取って代わるのは、最短でも2028年から2030年になるそうだ。Face IDに使われているレンズはドットプロジェクタ(顔に赤外線ビームを照射)と赤外線カメラ(顔から反射された赤外線をとらえる)の2つだが、いずれも通常のカメラほどの精度は必要としないため、先行して採用されるということだろう。
こうしたKuo氏の見通しは、かなり楽観的と言えそうだ。アップルの社内事情に詳しいMark Gurman記者は「真のARメガネはまだ何年も先のことだ」と述べていた。「必要な部品の小型化やバッテリー技術、レンズ、ソフトウェアサポート、製造能力」などの問題が山積みだとしていたが、Kuo氏が異なる情報をキャッチしているのかどうか興味深いところだ。